2009年01月14日(水) 02時35分
<元ペイントハウス>3億円架空増資の疑い 監視委が聴取(毎日新聞)
ジャスダック証券取引所に上場していた住宅リフォーム会社「ペイントハウス」(現ティエムシー・TMC、東京都多摩市)が05年に行った増資が架空だったとして、証券取引等監視委員会が証券取引法違反(偽計)容疑で調査に乗り出していることが分かった。証券監視委は東京地検特捜部への刑事告発を視野に、約3億4000万円を支払って増資を引き受けた投資ファンド関係者や、TMC取締役らから事情聴取を進めている。【堀文彦】
この関係者は投資コンサルタント会社「ソブリンアセットマネジメントジャパン」(千代田区)の阪中彰夫社長。野村証券出身で、企業再生ビジネスを手がける投資家として知られる。
架空増資は、会社側が流した資金で増資を引き受けさせる手口。第三者から資金を集める通常の増資と異なり、会社→引き受け手→会社と資金が環流するだけで資本が増強されないため、同法違反に当たるとされる。
当時公表された資料などによると、ペイント社は05年5月6日、ソブリン社全額出資の投資ファンド「ロータス投資事業組合」に、事前に定めた価格(権利行使価格)で新株を取得できる新株予約権を付与すると発表。同月26日、ロータスから約3億4000万円の払い込みを受け27万8000株を付与した。
一方、証券監視委関係者によると(1)ペイント社は千代田区(当時江東区)のシステム開発会社に約3億円を支払い(2)システム開発会社が英領バージン諸島の特別目的会社にほぼ同額を支払い(3)特別目的会社がソブリン社にほぼ同額を移動させた。阪中氏は取材に「商取引」などと主張しているが、監視委は▽(1)〜(3)の実行日がいずれも増資金払い込み日の翌日である同月27日▽システム開発会社の筆頭株主がロータスで、特別目的会社の出資者にもソブリン社が含まれている−−などから、商取引を装い資金を還流させたとみている模様だ。
ロータスは27万8000株を05年6〜8月ごろ売却し約2億円の利益を得た。一方、増資公表日(05年5月6日)は2020円だったペイント社の株価は翌営業日(同月9日)、2320円に上昇した。TMCは取材に対し、代理人の弁護士を通じ「コメントできない」としている。
民間の信用調査機関によると、TMCは89年設立。02年8月期の売上高は386億円で社員数2077人(いずれも連結ベース)だったが、05年8月期まで2期連続で債務超過になり、06年7月上場廃止になった。
◇阪中社長が疑惑を否定
阪中彰夫社長は8日、毎日新聞の取材に「資金が循環するよう画策したというのはまったくの言いがかり」と疑惑を全面否定した。
阪中氏は増資の経緯や監視委の聴取内容、自らの見解をA4判12ページにまとめた文書に沿って説明。増資の際、ロータスがペイント社に支払った約3億4000万円がシステム開発会社などに流れている点について「システム開発代金の支払いや債務返済などだった。(それぞれ)全く別の取引で、結果として(資金が)回っているだけ」と意図的な還流ではないと主張した。
さらに監視委の調査について「でっち上げ捜査(調査)が降りかかってきている。証券市場で仕事をするリスクが非常に大きく、まともな参加者が少なくなる」と語った。【堀文彦】
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