堺市で2007年10月、大阪航空(大阪府八尾市)の小型ヘリコプターが南海電車の線路上に墜落し、ヘリに乗っていた2人が死亡した事故は、機長席に無資格の乗客が座り、操縦レバーを急激に操作したことが原因とみられることが13日、運輸安全委員会の調査で分かった。
届け出では遊覧飛行だったが、運輸安全委は訓練を希望する乗客に実際に機長席で操作をさせていたため、乗客の急激な操作でメーンローター(主回転翼)がたわみ、機体の尾部を切断して墜落したとみている。
同委は、こうした経緯をまとめた最終報告書を近く公表する。会社側の安全管理の問題点についても指摘する方針。
事故機は、左右両操縦席のレバーがつながっていて、どちらの席からも操縦できる構造。無資格の人が座る場合は操作できないよう一部を取り外すなどの処置をする必要がある。
しかし事故の際は、操縦資格のない乗客の男性=当時(44)=が本来は機長が座る右の席にレバーを外さずに座り、機長=当時(40)=は左の席に座って乗客に操作をさせていたとみられることが、目撃者の証言などから分かった。機長は訓練飛行を指導する資格を持っていなかった。
このため運輸安全委は、飛行中に機体姿勢が変わった際、乗客が慌てて急激なレバー操作をしたためローターで尾部を切断し、飛行を続けられなくなって墜落に至ったと事故原因を推定した。
調査の過程で、機長に持病があったことも判明。発作で目が見えなくなることもある病気だったが、事故との因果関係は特定できなかった。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090113-OHT1T00232.htm