2009年01月13日(火) 13時47分
【神隠し殺人初公判 検察側冒陳】(1)手足縛りエアマットに寝かせた…捜査の手迫り「躊躇せず一気に刺した」(産経新聞)
検察官が法廷で読み上げた星島貴徳被告に対する住居侵入、わいせつ略取、殺人、死体損壊・遺棄事件の冒頭陳述の要旨は次の通り。
■神隠し殺人初公判■(5)留学の思い出も切り刻み、トイレに流した
■事件の概要
事件は、東京都江東区のワンルームマンションに1人で住んでいた被告が、1つおいて隣の部屋に住んでいた若い女性に無理やり、自分の部屋に連れ込んで強姦することを考えていたことから始まる事件です。
星島被告はこの部屋に住む東城瑠理香さん=当時(23)=が帰ってくるのを待ち伏せ、この部屋に押し入り、瑠理香さんを殴りつけました。そして、自分の部屋に連れて行って縛り上げ、強姦しようとしたのですが、途中で、警察が捜査を開始しているのに気づきました。
このままでは逮捕されると思った被告は、瑠理香さんが行方不明になったかのように装って、事件を闇から闇に葬り去り、逮捕を免れて自分の生活や体面を守ろうと考えました。
そのため、瑠理香さんを包丁で刺し殺し、死体を解体して下水道管に流したり、ごみ捨て場に捨てたのです。
■星島被告の身上、経歴
被告は出身地である岡山県内の高校を卒業後、上京してコンピューターソフトウエアのプログラマーなどとして働いていました。
これまで結婚したことがなく、両親とも10年以上連絡を取っていませんでした。前科前歴はありません。
■瑠理香さんの身上、生活状況
瑠理香さんは、姉、妹とともに長野市で育ち、地元の小中学校を経て、長野県立高校に進学しました。高校時代から海外留学を志して英語を熱心に勉強し、平成15年4月、上京して東京近郊の大学に進学しました。学内での選抜試験などの結果、1学年10人の留学枠に入り、16年3月にカナダの大学に留学しました。留学中に英語教員資格取得コースの受講を特別に許可されて、出身大学からの留学生として初めてこの資格を取得しました。
帰国後の19年3月、大学の所属学科を首席で卒業しました。将来、美術・ファッションなどに関する仕事をすることを目標に、美術関係会社でアルバイトをしながら、こうした職を探しました。
20年1月上旬、イベントやPR関係の企画実施会社に入社し、一生懸命仕事に取り組んでいました。
瑠理香さんは大学進学後、留学中などを除き、東京都内で姉、妹と同居して生活していました。
妹が実家に帰ることになると、賃料が手ごろで、防犯設備が完備していて安全なワンルームマンションに3月1日に引っ越し、姉と2人暮らしを始めました。
■住居侵入・わいせつ略取を決意した経緯
星島被告は女性と交際した経験がなく、長年、女性との交際を望んでいましたが、そのための努力は何もしませんでした。そして強姦をし続ければ、相手の女性を快楽におぼれさせ、被告の言うことなら何でも聞き、被告に不都合なことは一切考えない「性奴隷」にすることができると考えるようになりました。
被告は(事件を起こした)ワンルームマンションに20年2月に引っ越してきましたが、3月上旬ころ、916号室の前で若い女性を見かけ、1人暮らしの若いOLが同室に入居したと考えました。
4月12日ごろ、「性奴隷」にする女性は若ければ誰でもよく、金曜日に拉致すれば月曜日の朝まで強姦を続けて相手を「性奴隷」にできると考え、916号室前で見かけた見ず知らずのこの女性を次の金曜日である同月18日に自分の部屋に連れ込んで強姦することを決意しました。
■住居侵入、わいせつ略取の犯行状況
被告方の918号室の間取りは、玄関に向かって左手に流し台、冷蔵庫、クローゼットがあり、右手に洗濯機置き場、トイレ、浴室がありました。これらの間には廊下があり、その先には約6畳の洋室がありました。瑠理香さんらが住んでいた916号室も、918号室とほぼ同じです。
星島被告は4月18日金曜日午後6時半ごろから、918号室の玄関内で、916号室に住む女性が帰宅するのを待ち伏せしました。
瑠理香さんは仕事を終えた後、午後7時21分ころ、最寄り駅付近から姉に自宅近くに着いたとメールを送り、午後7時半すぎごろ、916号室に1人で帰宅しました。
瑠理香さんが916号室の玄関扉の鍵を開けた音を聞くと、星島被告は918号室を飛び出し、瑠理香さんが内側から鍵をかける前に、916号室の玄関扉を開けて中に押し入りました。瑠理香さんは大声で叫び、被告を外に押し出そうとしましたが、被告が瑠理香さんの左の額を右手のげん骨で1回強く殴り、廊下にうつぶせに押し倒して、背中に馬乗りになりました。
星島被告は瑠理香さんを立たせると、916号室の洋室内で瑠理香さんの両手首をタオルで縛り、目隠しをしました。そして、瑠理香さんの素性を知るために、廊下にあった瑠理香さんの黒いバックを拾い上げ、台所にあった文化包丁を瑠理香さんの首に押し当てて脅迫しながら、918号室に連れ込みました。
瑠理香さんを強姦するため、洋室内の床にエアマットを敷き、その上にあおむけに寝かせ、ビニールひもで手足を縛り上ました。口の中にはタオルを押し込みました。
被告は瑠理香さんの額の傷に気付くと、どこかに血痕が残っているかもしれないと考えました。そこで、916号室に戻り、玄関の内外に落ちていた血をふき、指紋を消すため、台所下の物入れの扉などをふきました。
午後8時ごろまでに918号室に戻り、いよいよ瑠理香さんを強姦しようとしましたが、陰茎が勃起しませんでした。そこで、暗い部屋に縛り上げた瑠理香さんを寝かせたまま、アダルトビデオを見たり、瑠理香さんを性奴隷にすることに失敗した場合の脅迫方法を考えたりしました。
■警察の捜査が開始された状況
瑠理香さんの姉は、4月18日午後8時43分ごろ、916号室に帰宅しましたが、先に帰ったはずの瑠理香さんがいない上、玄関に鍵がかかっていなかったことを不審に思いました。姉は外に出て瑠理香さんを探しましたが見つからず、午後9時15分ころ、916号室に戻りました。
その際、玄関の壁に付いていた血に気づき、瑠理香さんが何者かに連れ去られたのではないかと考え、午後9時16分に110番通報しました。午後9時27分ころから、警察官がマンションに駆けつけ、捜査が開始されました。
姉は110番通報後、すぐに父と母に瑠理香さんがいなくなったことを電話で連絡し、同日午後11時ころに父が、翌19日午前2時ころに母がそれぞれ駆けつけてきました。
■殺人の犯行状況
被告は瑠理香さんを縛り上げたまま、アダルトビデオを見て陰茎を勃起させようとしたりしていましたが、4月18日午後10時20分ごろ、918号室のドアがノックされると、警察が来たのかもしれないと考えて不安になりました。午後10時40分ごろ、様子を見るために外に出たところ、916号室前の共用通路に警察官が3人立っているが見えました。
被告は事件と無関係なふりをして918号室内に戻りましたが、瑠理香さんが何者かに連れ去られたことは既に警察に知られており、その近くに住む被告が疑われ、逮捕されるのは時間の問題と考えました。
被告は瑠理香さんを思いやる気持ちは全くありませんでした。被告は、逮捕されれば、自分のそれまでの生活や体面を失うと考え、それらを守るためには、瑠理香さんを殺し、死体を解体して棄てて、その存在自体を消し、行方不明を装うしかないと考えました。
被告はわずか約20分で、瑠理香さんを確実に殺すために、首を包丁で刺して失血死させようと決意したのです。
午後11時ごろ、916号室から持ってきた文化包丁を左手に持って洋室のエアマットにあおむけに寝かせていた瑠理香さんにそっと近づきました。そして、前触れなく、右手で瑠理香さんの口を強く押させて頭を固定した上で、左手に握った包丁を瑠理香さんの首に突き刺し、包丁に自分の体重をかけて一気に8〜9センチの深さまで突き刺しました。
瑠理香さんがうめき声を上げ、身体をのけぞらせるように腰を大きく上げたため、包丁を首に突き刺したまま、左手を放して瑠理香さんの腰付近を押さえました。
星島被告は、そのままの姿勢で瑠理香さんを押さえつけて死ぬのを待ちました。しかし、5分ほどたっても死ななかったため、被告は大量に出血させて早く瑠理香さんを殺そうと考え、左手で首に刺さっていた包丁を抜きました。
包丁を抜くと、勢いよく血が出て、続いて傷口から約1センチ幅の帯になって血が流れ続けました。瑠理香さんはそのころ、その場で頚部(けいぶ)刺創による失血で死亡しました。
=検察官が読み上げた冒頭陳述(2)に続く
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