2009年01月13日(火) 13時24分
【神隠し殺人初公判ライブ】(5)留学の思い出も切り刻み、トイレに流した(産経新聞)
《防犯カメラにマンションの外に連れ出される様子などが映っていなかったことから、この事件は東城瑠理香さんの失踪当初、「現代の神隠し」と騒がれた。法廷で検察官は、防犯カメラの映像を証人の東城さんの姉に示しながら、住民である星島貴徳被告の犯行の立証を進めていく》
■神隠し殺人初公判ライブ■(4)同居の姉、黒い服で涙 最後の言葉は「OK、行ってきます」
《検察官は、テレビの画面に映し出されたマンションのエントランスの拡大図面を指さし、注意を向ける》
検察官「正面以外に出入口はありましたか」
姉「西側に(もうひとつの)出入口がありました」
検察官「管理人は常駐していましたか」
姉「正面入り口の奥に管理人室があり、そこにいました」
《検察官は管理人室の写真を示し、姉に同意を求める。管理人が目を光らせていたため、事件時に、外部から不審者が入ってこなかったことで、星島被告の犯行しかないことを立証しているとみられる。立証は細部に及ぶ》
検察官「駐輪場はありましたか」
姉「はい。2カ所ありました」
検察官「証人と瑠理香さんも使っていましたか」
姉「南側の駐輪場を使っていました」
検察官「マンションは何階建てですか」
姉「9階建てです」
検察官「非常階段はありましたか」
姉「2カ所です」
《検察官は、見取り図に「南側非常階段」などと書いたマグネットを張っていく》
検察官「ゴミ捨て場はありましたか」
姉「北側非常階段と駐車場の間にありました」
検察官「防犯カメラはありましたか」
姉「はい」
《次に、犯行のあった9階の説明に入る。星島被告は耳を赤らめ、じっと目を閉じ、検察官と姉の説明に聞き入る》
《マンションは北から南にかけて通路が伸び、1列に部屋が並ぶタイプ。空き部屋が目立ち、南側は東城さん姉妹と星島被告しか住んでいなかった。住んでいた部屋を黄色く塗りつぶした図面を示す》
検察官「星島被告の部屋は、空き部屋をひとつ挟んだ隣ですか」
姉「そうです」
検察官「防犯カメラはエレベーターの中にもありますか」
姉「あります」
検察官「その映像を(東城さんが失踪した後に)警察官と確認していますね」
姉「はい」
《ここでエレベーターの防犯カメラの映像が映し出される。モニターの隅には事件のあった日の4月18日の午前8時21分58秒と記されている。映し出されたのは…》
検察官「だれが映っていますか」
姉「瑠理香です」
検察官「当日の服装を教えてください。コートは着ていましたか」
姉「黒のスプリングコートです」
検察官「被害者が毎日していた習慣のようなものがありましたか」
姉「毎日、自分の顔写真をデジカメで撮るのを日課にしていました」
《ここで事件の日の出勤前に東城さんが自分を映した写真が示される》
検察官「事件後、なくなっているものが、この写真の中で確認できますか」
姉「一番左の黒のスプリングコートと、隣にあるエンジ色のホットパンツです」
検察官「履物は何でしたか」
姉「白のブーツです」
《ここで、検察側は防犯カメラの映像に切り替える》
検察官「このブーツですか」
姉「はい」
検察官「いつブーツを買いましたか」
姉「平成20年の1月か2月です」
検察官「なぜ、知っているのですか」
姉「一緒に買い物に行ったからです」
《東城さん姉妹は一緒に仲良くショッピングに出かけることが大半で、ひとりでショッピングをした際にも、買ったものを必ず見せて批評し合っていたという。持ち物の細部に至るまで把握していた》
検察官「防犯カメラにはお弁当を入れた袋も写っていますね」
姉「『MIU MIU』のです。瑠理香が好きだったブランドです。小物もそろえていました」
検察官「いつからですか」
姉「大学のころから、こつこつと集めていました」
検察官「バックの中身は覚えていますか」
姉「お財布、システム手帳や小物入れなどで、携帯も入っていました」
検察官「音楽を聴くものもありましたか」
姉「ありました。『MIU MIU』のケースに入れていました」
検察官「財布はどんな感じでしたか」
姉「ダルメシアン柄(白黒の犬の模様)でした」
《ここで検察官が1枚の写真を示す。そこには笑顔で映る東城さんの手にダルメシアン柄の財布が…》
検察官「この財布ですか」
姉「はい。平成20年1月3日に当時住んでいた近くで箱根駅伝の応援に行ったときの写真です」
検察官「財布の中には何が入っていましたか」
姉「カナダの留学時代の学生証や免許証、銀行のカードが入っていました」
《事件後、星島被告は東城さんの持ち物を切り刻んでトイレに流すなどしていた。捜索では、さまざまな東城さんの所持品が下水管から見つかった。検察官は3センチ四方に切れられたダルメシアン柄の皮を姉に見せる》
検察官「下水管から見つかったものですが、何だが分かりますか」
姉「財布です」
《仲が良く、持ち物の細部まで把握していた姉。失踪後は、妹の生存を固く信じ、すがる思いで記憶をたどり、すべての持ち物のイラストを描いて警察に提出していた。システム手帳、化粧ポーチ、小物入れ…。検察側は次々にイラストを映し出し、下水管から見つかった切れ端との確認を続けた。姉のイラストは下水道から見つかったものとピタリと一致している》
検察官「(東城さんは)持ち物をどう扱っていましたか」
姉「とても大切にしていました」
検察官「携帯電話はどんな感じでしたか」
姉「海外でもそのまま使えるようなものでした。携帯と同じくらいの大きさの人形をつけていました」
《留学経験を生かし、美術やファッションの仕事を目標にしていたという東城さん。その思い出を切り刻んだ星島被告は、最後まで目を開けることはなく、じっと耳を傾けた》
=(6)に続く
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