2009年01月13日(火) 11時50分
瀕死の新聞業界をGoogleが救う「5つの方法」(WIRED VISION)
『The Atlantic』誌は今週の記事で、『New York Times』紙などの印刷メディアが、予想より早く終焉を迎える可能性を示唆した。
そんな中、『Fortune』誌は、米Google社の最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏にインタビューし、不振にあえぐ新聞業界を救うためにGoogle社がすべきことは何かと問うた。
これに対してSchmidt氏は以前にも述べた、何かすべきだという「道徳的義務感」を表明したが、具体的な方策を示すことはなかった。
巨大ネット企業Google社は、メディアが発信する情報の流れを整理することで成長してきた。したがって、新聞の未来とも無関係ではない。しかし、Google社がどうしてもそこに介入する必要はあるだろうか? その必要はない、という意見もある。
「(ニュースは)永久に変わってしまった。『Google』『Craigslist』『Facebook』などのサイトはこうした変化の一因となっているが、だからといって、こうした変化に適応できない者に対して責任を負っているわけではない。彼らに責任はない」と、メディアに詳しいブロガーJeff Jarvis氏は言う。同氏は、近く新刊書『What Would Google Do?』(Googleは次に何をするか?)を発売する。
それでも、もしGoogle社が新聞業界の救済に乗り出すとするなら、以下の5通りの手段が考えられる。
1)買収する
Fortune誌のインタビュアーが提案した1つの解決策は、新聞社を買収してGoogle社の傘下に置くというものだった。しかし、Schmidt氏はこの提案を一蹴した……少なくとも今の時点では。
「幸い、買収は可能だ。当社にはそれだけの資金がある。だが、当社が新聞社を買収しても、ビジネス上の問題は解決しないと思う」とSchmidt氏は述べた。
「私の考える解決策は、統合を強めることだ。これは買収しなくても実行できる。私はこれを『合併しない合併』と表現している」
Google社は、成功戦略のない企業には出資しない方針だ。ニューヨーク大学のジャーナリズム学教授Jay Rosen氏はこう述べている。「Eric Schmidt氏が言っているのは次のようなことだ。『施しならいつでもできる。しかし、それは患者の命を見限るようなものだ」
2)非営利報道機関を支援し組織化する
Schmidt氏は、Google社が広告をビジネスとする企業であることを明言している。それに、慈善事業はビジネスとは切り離しておくべきだ。それでも、Google社が余剰資金の一部をメディアに投じるつもりなら、いくつか方法は考えられる。
[ジャーナリストの]Dan Froomkin氏は、ハーバード大学が運営するジャーナリズム関連サイト『Nieman Watchdog』において、いくつかの提案を行なっている。たとえば、(Schmidt氏も言及している)『ProPublica』などの非営利報道機関に寄付する。一部新聞と「養子縁組」をして彼らの技術向上を助ける。あるいは同社独自の非営利報道機関を設立する、といったことだ。
そのほか、『Spot.Us』という使い道もある。Spot.Usは、ジョン・S・アンド・ジェームズ・L・ナイト財団から助成金を得て、(ワイアード・コムの元記者)David Cohn氏が運営する非営利プロジェクトで、提案された取材案件に一般市民が資金を提供し、それを元にジャーナリストが取材記事を作成するというものだ。
草の根ジャーナリズムに出資して、この種のオープンソース・プロジェクトにいくらかの組織性を持たせることが、報道における「次の一大トレンド」になるかもしれない。オープンソースと組織を結びつける場として、既存の報道機関ほど適した存在がほかにあるだろうか。
3)ジャーナリストに役立つツールを宣伝する
Google社では、ジャーナリストが活用できるツールについて周知を図るための、メディア向けの支援プログラムを展開している。すでに多くの新聞が、検索最適化技術を用いたGoogle社の各種サービスや『Google Maps』『AdSense』などを活用しているが、まだこれらを知らない人々にも情報が行き届くよう、周知活動をいっそう強化しても問題はないはずだ。
正直なところ、Google社は自社のこのような取り組みに関してさほど積極的に周知活動をしているとは思えず、それどころかGoogle社がこうした取り組みを行なっていること自体、どれだけの人が知っているのか疑問だ。
(2)へ続く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090113-00000004-wvn-sci