記事登録
2009年01月13日(火) 10時00分

出所直後の再犯に残る不安中国新聞

 福山市中心部で11日未明から深夜に相次いだ放火とみられる6件の不審火は、一部の犯行を認めた住所不定の無職藤井正二容疑者(46)が発生から2日目に逮捕される素早い展開になった。1人が焼死体で見つかるなどして高まった住民の不安はやや和らいだが、放火罪で有罪判決を受け、出所後すぐに再犯に走った容疑者の行動には身震いする声も漏れた。

 「遠くのサイレンがそばでも鳴った。外に出たら車の割れた窓から2、3メートル上まで炎が上がっていた。煙で息苦しかった」。紅葉町の駐車場近くの無職男性(71)は青ざめた。

 藤井容疑者は以前にも放火を繰り返し、昨年末に出所して1カ月も経っていなかった。「またやったのか。仕事も見つからんかったんだろうか」。容疑者を知る消防署員は当時を思い出しながら表情を曇らせた。

 藤井容疑者は着たきりの衣服で風呂にも長く入っていなかったようだという。家もなく所持金もわずか。ポケットティッシュ9袋とライターを持ち、東署員の職務質問にあっさりと容疑を認めた行動に、捜査員は「放火という罪の重さを自覚していないのか」と首をひねった。

 東署は残る不審火4件との関与を追及する方針だが、福山北、福山南消防署は管内を回る夜間パトロールを今後も続けるという。

【写真説明】燃えたライトバンを調べる捜査員(12日午前9時35分、福山市紅葉町)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200901130026.html