三次市吉舎町の郷土史家、藤村耕市さん(79)の論文集「三次郷土史の研究」を、三次地方史研究会が出版した。古文書などを丁寧に読み解いた論考で、科学的で分かりやすい内容となっている。
研究会機関誌「みよし地方史」の論文や新聞投稿のコラムなど67編を掲載。「近世編」の論文では、広島藩が、布野宿(現三次市布野町)保護策として、商い物の江の川水運利用を禁止したことを明らかにした。
吉舎町の私学「日彰館」(現日彰館高)が、九州や四国にも生徒募集の新聞広告を出した事実から、館祖奥愛次郎の教育に懸けた熱意を読み取る考察もある。広島県北でワニ(サメ)を食べ始めた理由や、近世三次町の生活にも迫るなど、内容は多岐にわたる。
A5判、424ページで、500部を印刷。3000円。県北の主な書店で販売している。
【写真説明】古文書との出合いなどについて話す藤村さん