福山文化連盟名誉会長を務め、2006年11月に96歳で亡くなった画家藤井軍三郎さんの遺作集「余滴」が完成した。死の直前まで絵筆を握り、住まいの福山市鞆町を中心に描いた作品95点を収録している。
米寿記念画集を出版した後の作品がメーン。第1回県美展入選作の「医王寺薬師堂」をはじめ日展初入選の「加熱炉」、季節ごとに表情を変える鞆港、絶筆となった能登原とんどを盛り込んだ。龍興寺のふすま絵や、スケッチも載せた。
藤井さんは教職の傍ら、結婚で移り住んだ鞆町を描き続けた。在職中から日展で入選を重ね、光風会展には90歳を過ぎても毎年100号の大作を出品していた。
遺作集は長女の堀江典子さん(71)=東京都港区=ら遺族が発案。500部を製作し、市内の図書館や美術館に配った。
【写真説明】遺作集を前に、藤井さんの思い出を語る左から卜部俊孝さん、堀江さん、岡田一さん