危機的水準—。麻生内閣の支持率が昨年9月の発足から4か月もたたないうちに20%を割り込んだ。共同通信が10、11両日に実施した電話世論調査によると、内閣支持率は12月の前回調査から6・3ポイント減の19・2%に下落。逆に不支持率は8・9ポイント増の70・2%と森内閣以来約8年ぶりに70%を超えた。麻生太郎首相(68)は「どちらが首相にふさわしいか」という質問項目でも民主党の小沢一郎代表(66)にダブルスコアの完敗。また定額給付金については「評価しない」が70・5%と反対の声が圧倒的だった。
ついにあの歴史的不人気内閣と肩を並べてしまった。麻生内閣の支持率は10%台に突入。逆に不支持の声は森内閣以来となる7割台をたたき出した。
定額給付金問題で迷走する首相だが、不支持の理由では「経済政策に期待が持てない」が28・8%でトップ。続いて「指導力がない」(22・6%)「信頼できない」(18・2%)と首相個人の資質を疑問視する回答が挙げられた。
不支持が70%を超えたのは約8年ぶりのこと。2000年4月、病に倒れた故・小渕恵三氏の後継として森喜朗氏(71)が総理のいすに座った。「密室で談合」と批判された就任のいきさつに加え、内閣発足1か月後に「神の国発言」で波紋を広げ、さらに同6月の衆院選中には「無党派層は寝ていてくれればいい」と演説。森内閣は舌禍で急速に支持を落としていった。
調査方式が異なるため単純比較はできないが、当時の世論調査(共同通信)では、同年11月に不支持率67%を記録(支持率18%)。この時は中川秀直官房長官(当時)が女性スキャンダルで辞任した直後だった。そして同12月に不支持率が7割を突破(75%)し、以後01年4月の退任まで「低支持率・高不支持率」で推移。退任前の同2月調査で、ついに「支持率7%、不支持率82%」という数字が記録された。
失言癖の共通点を持つ2人の宰相。しかし森内閣でさえ、不支持率が7割を超えるまで8か月を要したのに、麻生内閣は発足4か月足らずで到達している。
今回の低迷の原因とみられるのは定額給付金をめぐる迷走ぶりだ。給付金については「評価しない」が70・5%と、こちらも7割超え。「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」への回答では「年金・医療など社会保障」が42%と最多で「定額給付金」はわずか3・3%で最少だった。
「国民からは『給付を待っている』という声もある」と答弁している麻生首相だが、その声も少数派であることが浮き彫りになった形だ。
失速寸前の超低空飛行を続ける首相に「V字回復」の妙手は残されているのか。「北朝鮮の拉致被害者の電撃帰国など強烈な材料があれば別なんですが…」とは政治評論家の有馬晴海氏。「むしろ『偽メール』のような民主党の自爆やスキャンダルに期待する方がまだ現実的です」。麻生内閣に奇跡は起こるのか…。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090112-OHT1T00108.htm