与野党は十一日、継続審議になっている労働者派遣法改正案に関し、派遣元だけでなく派遣先企業の責任も明確にする見直しを検討することで一致した。同法改正案を修正する方向で調整する見通しだ。
労働者派遣法改正案は常用雇用への転換について派遣元企業の努力義務を定めている。景気悪化による派遣契約打ち切りで職や住むところを失った労働者が相次いでいる事態を踏まえ、派遣先企業も含めた住宅確保などの新たな法的措置が必要と判断した。
公明党の北側一雄幹事長は同日、与野党の幹事長と書記局長が出演したテレビ朝日番組で「再就職先のあっせんや契約終了後一定期間の住宅確保など派遣先や派遣元の責任を明確化しセーフティーネットを強化すべきだ」と提案。民主党の鳩山由紀夫幹事長は「賛成だ。派遣先と派遣元の連帯責任を明らかにする法律を作ればいい」と応じた。ほかの出席者からも異論は出なかった。
自民党の細田博之幹事長は番組終了後、記者団に与党で同法改正案の見直し作業を急ぐ考えを示した上で「住宅確保などでは与野党で一致する可能性がある」と述べ、与野党協議に応じる姿勢を示した。
ただ民主党などは労働者派遣法改正案に製造業への派遣禁止を盛り込む修正案を検討。麻生太郎首相は、規制の検討は容認しつつ「厳しい雇用情勢の中で直ちに禁止すると、現在働いている人に影響が出る」と慎重姿勢を示しており、改正案の全面的な修正で与野党が同意できるかは見通せない。