【デトロイト11日共同=増田和則】世界三大自動車展示会の一つ、北米国際自動車ショーが十一日、経営危機に陥っている米ビッグスリー(自動車大手三社)の地元のミシガン州デトロイトで開幕した。世界的な景気悪化による自動車不況を反映して、日産自動車などの出展見送りや記者会見のキャンセルが相次ぎ「自動車の祭典」も今年は盛り上がりに欠ける。自動車業界が未曾有の危機からの脱出を模索する場となりそうだ。
世界最大である米国市場の低迷に苦しむ各社は、低燃費車に加え、電気自動車など次世代の環境対応車で技術力をアピールし、少しでも販売回復につなげたい構えだ。
トヨタ自動車が人気のハイブリッド車「プリウス」の新型車や高級車「レクサス」のハイブリッド専用車、電気自動車の試作車を初公開。二〇一二年までに米市場で電気自動車を売り出す。ホンダも春に発売する新型ハイブリッド車「インサイト」の市販車を発表予定で、低燃費車の開発・展示では日本勢が主役になりそうだ。
対するビッグスリーは環境対応で日本勢に後れを取ったことが販売不振の一因となっただけに、電気自動車などの出展で日本メーカーに負けない技術力を示す意向。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは米政府から公的資金の緊急融資を受け当面の経営破たんを免れており、競争力のある車の開発へ背水の陣で臨む。
両社は緊急融資の条件として労務費の削減をはじめ徹底したリストラを求められた。労働組合や債権者との交渉が本格化する中、ショーに参加するワゴナーGM会長ら首脳の発言にも注目が集まっている。
日本メーカーは日産や三菱自動車が出展を取りやめ、ホンダも記者会見をせずに展示だけにとどめる。経費削減とともに、不振の米三社への配慮もあるとみられる。
十六日までは報道陣など向けで、一般公開は十七—二十五日。