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2009年01月11日(日) 13時00分

奮闘していた低価格衣料品業界に異変 西松屋、しまむらが苦境に陥りユニクロが独走MONEYzine

 近年、大手百貨店や衣料専門店など国内小売市場の売上高の落ち込みが深刻視されているが、その中でも健闘していたのが「しまむら」や「西松屋チェーン」に代表される低価格衣料専門店だった。

 低価格衣料専門店はこれまで景気の先行きに不安を覚えた消費者の生活防衛意識の高まりで不況を逆手に取り客を集めてきたが、ここにきて悪化の一途をたどる世界不況の波にのみ込まれ販売不振が目立ってきた。08年12月の売上高増減率はしまむらが前年同月比で7.7%減、西松屋チェーンも同6.3%減と落ち込み、国内の消費意欲減退の影響を受けてしまった。

 原材料価格の上昇により低コスト構造の維持に限界が近づいてきているなか、イトーヨーカ堂やイオンなどの大型スーパーらを交えた衣料販売店間の値引競争は激化しており、最大の魅力である商品の安さを消費者にアピールするのが困難になっている。

 奮闘していた低価格衣料品チェーンが販売不振に陥るなか、ひとり好調なのが「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。08年秋に自ら発熱するだけでなく保温性にも優れる発熱保温肌着「ヒートテック」の人気に火がつくと多くの店舗で品切れとなる状態に発展、昨シーズンだけで2000万枚を販売した。ヒートテックは08年12月の売上高が前年同月比10.3%増となる好業績に貢献し、同社は今期から同商品をグローバル戦略の重要なアイテムと位置づけ、国内外で2800万枚の販売を行う予定だ。

 ユニクロの強みは低価格ながら品質を維持していることに加え、フリースやブラトップ、そしてヒートテックなど毎年のようにヒット商品を生み出している点だ。9日にはシンガポールに東南アジアで初の出店すると発表したがすでに欧米の他、韓国や中国などアジアにも出店しており海外進出にも積極的。世界不況の影響で海外でも小売市場の低調が続いているが、同社が掲げるグローバル戦略が順調に進めばさらなる成長が期待できる。

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