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2009年01月10日(土) 03時01分

韓国経由で覚せい剤密輸、日本人の逮捕相次ぐ読売新聞

 【ソウル=前田泰広】マレーシアなどで覚せい剤を調達したうえ、韓国経由で日本に密輸しようとしたとして、日本人が韓国当局に逮捕される事件が昨年10月以降、相次いでいる。

 日本では昨年夏ごろからマレーシア発の航空便を使った薬物密輸事件が急増しており、東南アジアからの航空便利用者の検査を強化した日本の税関当局の裏をかこうとしたためとみられる。

 韓国関税庁は、円高ウォン安の影響で韓国を訪れる日本人観光客が増加していることも背景にあるとみて、警戒を強めている。 韓国関税庁によると、韓国の“空の玄関”仁川国際空港では例年、日本人による違法薬物の密輸事件が1、2件しか発覚していなかったが、昨年は10月26日から12月22日までの約2か月間に日本に覚せい剤を持ち込もうとする事件が相次いで摘発され、計6人の日本人が逮捕された。

 このうち3人は覚せい剤をマレーシアで調達し、残る3人はトルコから覚せい剤を持ち込んでおり、押収した覚せい剤は合計7キロ(末端価格約4億円)に上っている。6人はいずれも20〜30歳代で、1キロ前後の覚せい剤を二重底にしたスーツケースに隠すなど手口も似通っていた。

 特に昨年10月26日朝、マレーシアからの同じ航空機で仁川国際空港に到着した無職の男(25)と飲食店従業員の女(20)の場合、ともに翌27日の羽田行き航空券を所持していたのに、同空港でスーツケースの覚せい剤が見つかって麻薬類管理法違反の疑いで逮捕されるまで、互いの存在に全く気づいていなかった。

 2人は調べに対し、「『薬物を運べば報酬を払う』というインターネットのサイトを見て応募した」「マレーシアにいた男からスーツケースを渡された」などと供述し、日本を出国する前、韓国を経由して帰国するよう指示されていた。

 東京税関によると、成田空港では昨年6〜9月、マレーシアから覚せい剤を密輸しようとしたマレーシア人が逮捕されるなど4件の密輸事件が発覚している。

 韓国関税庁はこれ以降、日本の税関検査が強化されたため、韓国を経由する密輸が増えたと分析。韓国で乗り換えたり、韓国入国翌日に日本に戻ったりする日本人に対し、違法薬物の検査を強化することを決めた。

 韓国を訪れる日本人観光客は円高の影響で、昨年11月だけでも前年同期を14%も上回る22万4000人に達しており、韓国関税庁の担当者は「韓国から帰国する一般の日本人に紛れ込めば、税関検査もすり抜けられると考えたのではないか」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090109-00000074-yom-soci