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2009年01月10日(土) 18時55分

有価証券評価損7000億円超に リーマンショック後の株価暴落で産経新聞

 金融危機に端を発する世界的な株価暴落で、企業の投資有価証券評価損が膨らんでいる。東証1部上場(金融機関を除く、2・3月期決算)企業が平成20年10〜12月期に計上する評価損は7000億円を超える見通しだ。景気低迷に伴う本業の落ち込みに加え株安が企業業績に直撃し、21年3月期の業績予想を下方修正する企業が増える可能性も高まっている。

 クレディ・スイス証券によると、東証1部上場企業の300社以上が20年10〜12月期に国内株式で、2000億円以上の評価損を計上する見込みだ。製薬大手の第一三共が、昨年買収したインド製薬大手の株価下落で約3500億円の評価損を計上するなど、外国株式を含めれば6000億円以上に達するとみられる。

 評価損の公表も相次ぎ、今月9日には神戸製鋼所が157億円の計上を発表。すでに新日本製鉄が579億円、TBSが97億円の評価損計上を余儀なくされた。

 企業収益にもマイナスの影響を及ぼしている。評価損の業績に対する影響に関してクレディ・スイス証券は「企業の10〜12月期決算の最終利益を、前年同期比で10%程度押し下げる」と試算しており、業績下方修正が相次ぐ可能性もある。

 投資有価証券評価損は、短期的な売買目的を除く株式などの有価証券保有分について、期末時点の価格が取得価格から50%以上下落した場合に強制的に計上される損失だ。下落率が30%以上50%未満であっても、個別企業の判断で評価損として計上する場合もある。

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 有価証券評価損 企業が保有する上場株式などの有価証券で、価格が値下がりした際の取得時との差額。時価会計の導入によって企業の財務状態をより正確に表すため、取得した際の簿価と比べ時価が50%超下落すると、決算で評価損を損益に計上するよう義務付けられている。30−50%の下落でも、企業の判断で損失計上することができる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090110-00000554-san-bus_all