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2009年01月08日(木) 05時01分

不法滞在・中国人用の住居、日本人組織が200件契約か読売新聞

 東京都内の会社役員の男が、本人名義でアパートやマンションなどを賃借するのが難しい不法滞在などの中国人に代わり、日本人を契約者に仕立て、違法に契約を結ばせていた疑いがあることが、神奈川県警の調べでわかった。

 県警は、日本人二十数人が繰り返し契約者となり、約2年間で首都圏を中心に少なくとも約200件の違法契約を成立させていたとみており、入居実態を調べるため、詐欺容疑で数十物件の捜索を始めた。警察庁によると、不法滞在者らへの組織的な住居斡旋(あっせん)が発覚したのは初めて。入居の中国人には窃盗犯もおり、県警は犯罪者の拠点に広く使われている恐れがあるとみて実態解明を急ぐ。

 捜査関係者によると、男は東京都板橋区上板橋、会社役員伊藤静朗被告(41)(偽造有印私文書行使の罪で公判中)。起訴状などによると、伊藤被告は2008年3〜4月、契約者役の日本人の男2人に一定の収入があると見せかけるため、偽の源泉徴収票を使って不動産賃貸契約を結ばせ、不法滞在の中国人2人に住居を斡旋したとされる。

 伊藤被告は06年秋、東京・池袋を拠点とし、中国人に賃貸アパートなどの保証人や契約者として日本人の斡旋を始めたという。池袋などで無料配布される中国語新聞に、住居や就職などの保証人を紹介するとの広告を出し、連絡のあった中国人の希望に応じて契約者役の日本人を紹介。部屋の鍵と引き換えに、家賃約1か月分の手数料を中国人から受け取っていたとみられる。

 名義人役は、伊藤被告の知人や口コミで集まって来た日本人で、報酬は手数料の2割。残る8割は伊藤被告が取っていたという。

 伊藤被告は、逮捕された昨年10月までに約200件で日本人の契約者を紹介。入管難民法違反(不法滞在)容疑で逮捕された入居者の男は、60件の空き巣を繰り返していたという。県警は、家主をだまし、入居者は日本人だと思わせた賃借権詐欺の疑いで物件を捜索。入居中国人の不法滞在や、契約時に偽の源泉徴収票が使われたことが発覚した場合、立件していく。

 伊藤被告は、1件1万数千円で約400件の保証人の世話もしており、手数料と合わせて計約2000万円を得ていたとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090107-00000076-yom-soci