2009年01月07日(水) 13時02分
阪神大震災14年:慰霊の竹灯ろう作り続ける 京都・京丹後の吉岡さん /兵庫(毎日新聞)
◇1・17に込める思い、ともす鎮魂のあかり
鎮魂のあかりを——。京都府京丹後市弥栄町木橋の農業、吉岡功光さん(68)が今年も阪神大震災の犠牲者のために慰霊竹灯ろうの竹筒315本を作った。神戸市中央区の東遊園地で開かれる「神戸・市民交流会」(中島正義代表)主催の「阪神淡路大震災1・17のつどい」で使われ、約6500本の竹筒にろうそくの火がともされる。【塩田敏夫】
震災当時、吉岡さんは旧弥栄町ガンバロウ課長だった。さまざまな企画を担当する部署でその日は除雪作業を終え、役場に戻ってストーブにあたって暖まっていた。大きな揺れにただごとではないと直感。当時の森岡行直町長(故人)と連絡を取り、ただちに救援隊を組織することが決定。吉岡さんは副隊長として指揮を執ることになった。
給水車を含む5台の車両に16人の救助隊員が分乗してその日のうちに被災地に向かい、神戸市長田区に入った。そこで目にしたのはケミカルシューズ工場が次々に爆発して炎上する光景だった。消防のホースが入り乱れているが水は出ず、なすすべはなかった。50歳前後の男性が家族がいるという燃え上がる自宅の前でぼうぜんと立ちすくむ姿が今も忘れられないという。
中島代表の呼びかけで、吉岡さんが個人として竹筒を作るのは5回目だ。退職後に働いた府農業公園「丹後あじわいの郷」では職場として竹筒を贈っており、合わせると3000本にも上る。今回は所有する山林から25本の竹を切り出し、45センチの長さに切りそろえた。9日に搬送する。
吉岡さんは「丹後大震災では私たちの先輩が大変お世話になったと思います。人はどこでどんな災害に遭うか分かりません。何でも継続するのは難しいことですが、体の続く限り、慰霊の竹筒を作り続けたい」と話している。
〔神戸版〕
1月7日朝刊
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090107-00000179-mailo-l28