2009年01月07日(水) 21時50分
<雇用決議採択>実効性ない「言葉遊び」 与野党の思惑絡み(毎日新聞)
参院は7日午後の本会議で、政府と企業に雇用の維持などを求める「雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議」を全会一致で採択した。各党が思惑絡みで歩み寄り、野党案の修正を経て全会一致に至った。しかし、雇用対策が実効性を持たない中での「決意表明」に過ぎず、修正の際の文言調整も厳しい現場からかけ離れた「言葉遊び」という印象を与えた。
「決議するのもバカバカしいが、反対して批判されるのはもっとバカバカしい」。決議採択後、参院自民党幹部は吐き捨てるように言った。
野党4党は6日、衆参両院に決議案を提出したが、与党は「パフォーマンス」と取り合わず、対案採択の方向で動いた。しかし、野党が過半数を握る参院では野党案の採決は止められないため、歩み寄りにかじを切った。
一方、民主党は決議を与党攻撃の材料と位置づけていたため、当初は自民党との調整を渋った。これに業を煮やしたのが社民党。福島瑞穂党首が6日夜、「自民案と野党案がすりあわせられないなら両方の決議案に賛成する」と共産、国民新両党に働き掛けた。
この結果、民主党も「両案とも決議したら格好がつかない」(参院幹部)と判断。7日午前、自民、民主両党の議院運営委実務者が自民の対案を踏まえて野党案を修正することで折り合い、議運委員長提案で採択にこぎつけた。野党は「雇用対策を主導した」という形づくりを重視し、与党は雇用問題に消極的と取られることを恐れた決着だった。
福島氏は7日の会見で「自民案には『企業の社会的責任』も入っており、むしろ評価できる面もあった」と指摘。「社民党の働き掛けで一本化できたことをうれしく思う」と感想を述べた。民主党の簗瀬進参院国対委員長は会見で、野党の主張に自民党が折れた点を強調。「野党のリーダーシップが功を奏した」と自賛した。【白戸圭一、山田夢留】
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