2009年01月07日(水) 21時07分
<ガザ侵攻>学校攻撃にイスラエル軍釈明、国連など反論(毎日新聞)
【エルサレム前田英司】「なぜ住民の避難所が攻撃されなければならないのか」−−。6日、パレスチナ自治区ガザ地区にある、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校が攻撃された事件で、イスラエル軍は同日、学校付近から迫撃弾が発射されたことへの反撃と釈明した。しかし国連や地元住民は「学校に戦闘員などいなかった」と、イスラエル側の言い分を真っ向から否定。住民が避難した学校が攻撃されるという事件の衝撃に、国際社会では停戦を探る動きが活発化し始めた。
6日攻撃を受けたのは、ガザ市内のシャティ難民キャンプ、同市近郊のジャバリヤ難民キャンプ、南部のハンユニスの計3カ所にある同機関が運営する学校。
6日、ジャバリヤのファフラ中学校には、戦闘の激化を恐れた地元住民約350人が避難していた。午後4時半(日本時間同11時半)ごろ、イスラエル軍戦車の撃った砲弾が校門付近に着弾し爆発。少なくとも43人が死亡した。
直後に現場に到着し、ボランティアで救急活動に当たったムハンマド・ルジャイラさん(24)によると、爆発で窓ガラスは飛び散り、校舎の一部が損壊。人々は泣き叫び、現場はパニック状態だった。「ここには自宅を逃れてきた市民しかいない。なぜ攻撃されなければならないのか」。中年男性が怒鳴るように訴えたという。
イスラエル軍は6日夜、初期調査の結果を公表。死者の中にハマス戦闘員2人が含まれていたとして、「ハマスが住民を『人間の盾』に利用したために起きた悲劇だ」と強調した。
これに対し、UNRWAガザ事務所のジョン・ギング所長は「学校に戦闘員などいなかったし、校内からの攻撃もなかった」と反論する。UNRWAが運営する学校約20校が避難所として使用されており、所在地情報はすべてイスラエル軍に提供してあるという。
イスラエル軍は一般住民の被害を避けるため、学校など安全な場所に避難するよう住民に呼びかけていた。ギング所長は「攻撃は必要だったのか。国際人道法は守られていたのか。独立した調査が必要だ」と語った。
◇UNRWA
国連総会決議に基づいて設立されたパレスチナ難民の支援機関で、1950年から活動を開始。ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、ヨルダン、レバノン、シリアの5地域にある難民キャンプやその周辺で、学校や診療所の建設・運営、食糧支援などを行う。職員数は約2万8000人。
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