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2009年01月07日(水) 21時01分

<天然ガス紛争>露がウクライナ経由の欧州向け供給完全停止毎日新聞

 【モスクワ大前仁】ロシアとウクライナが天然ガス供給を巡り対立している問題で、ウクライナ国営天然ガス企業ナフトガスは7日、ロシア側がウクライナ領内のパイプラインを経由した欧州向けのガス供給を完全停止したと表明した。欧州連合(EU)はガス輸入の4分の1をロシアに依存し、うち全体の2割にあたる8割がウクライナを経由する。欧州が厳冬期を迎える中、ガス供給の重要ルートが機能停止となったことで、影響はさらに深刻化しそうだ。

 ◇「ウクライナが封鎖」ガスプロム副社長が反論

 タス通信などによると、ロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロムのメドベージェフ副社長は同日、「すべてのパイプラインを封鎖したのはウクライナだ」と反論しながら、供給停止を確認した。ロシアのプーチン首相は「ウクライナが欧州向けガスを抜き取っている」として、同国経由のガス供給削減を指示していた。

 AFP通信によると、欧州では7日までにオーストリア、チェコ、ルーマニア、スロバキアなど少なくとも11カ国でロシア産ガスの供給が完全停止した。ロシアからベラルーシや黒海経由のガス供給は続いているが、ウクライナルートの停止による影響は欧州のほぼ全域に及んでいる。

 各国は備蓄分や他国からのガス供給でしのいでいるが、ブルガリアで7日に一部の企業や学校が閉鎖されたほか、ハンガリーでは工業用のガス使用が制限され、スズキの自動車工場が生産停止に追い込まれたという。

 ロシアとウクライナはガス価格などを巡る交渉が決裂、ロシアは1日からウクライナ向けガス供給を停止していた。ウクライナ側は交渉を8日に再開するよう打診しているが、早期の妥結は難しいとみられる。

 ◇ガス抜き取り非難、対露不信の払拭狙う

 世界最大の天然ガス輸出国ロシアは、液化天然ガス(LNG)への転換が遅れ、輸出の大部分をソ連時代からの欧州向けパイプラインに依存する。このため「エネルギー安全保障」の重要な要素として生産国、消費国とともに中継国の責任を強調してきた。06年にウクライナ向け供給停止から欧州に影響が出た際は、エネルギー供給国としてのロシアへの不信感が噴出した。ロシアが今回、ウクライナのガス「抜き取り」を非難し、中継国としての「無責任さ」を再三訴えるのは、欧米にウクライナへの不信感を植え付けると同時に、対露不信を和らげる狙いもある。

 ロシアは今回、早くから欧州へのロビー活動などでウクライナの責任に注意を向けさせることに努めてきた。ウクライナ政権が大統領と首相の内部対立を繰り返していることもロシアに有利に働いた。欧州各国はロシア、ウクライナ双方に解決を促す中立的な立場を取っている。【モスクワ大木俊治】

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090107-00000116-mai-int