2009年01月07日(水) 22時01分
<かんぽの宿>譲渡再考に日本郵政、オリックス戸惑い(毎日新聞)
日本郵政によるオリックス子会社のオリックス不動産への「かんぽの宿」70施設の一括譲渡契約に対し、鳩山邦夫総務相が再考を求めたことに、日本郵政とオリックスは困惑を隠さない。異例の「待った」の背景には、3月末の郵政民営化法に基づく民営化の在り方見直しまで、「日本郵政の資産を凍結しておく狙いがあるのではないか」(総務省幹部)との見方がある。
現在、政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)や自民党の見直し論議が進んでいる。だが、資産を売却してしまうと後戻りできない懸念がある。
総務相は6日夜、記者団に譲渡見直しを求める考えを明かした際、「山口(俊一)首相補佐官らに相談したうえで、話している」と語った。総務相は「郵政造反組」の山口首相補佐官が官邸とのパイプ役だと明言し、総務省内には「発言を重く受け止める必要がある」という空気が広がった。
今回の譲渡には総務相の認可が必要で、日本郵政は1月下旬、認可申請を提出する予定だった。総務相は「郵政民営化を議論した規制改革会議の議長だった宮内義彦氏が会長を務めるオリックスへの譲渡は、国民が出来レースと受け取る可能性がある」などと難色を示し、「国民が納得しなければ、認可しない可能性は十分ある」とくぎを刺す。
総務省は日本郵政から、譲渡先をオリックスに決めた選考過程を調査し、今月中をめどに総務相に報告する方針。認可が得られなければ、売却が白紙になる可能性もあり、先行きは不透明だ。
日本郵政は昨年4月、売却先を公募し、2度の入札を経て、昨年12月、譲渡先をオリックスに決めた。総務相の発言に「手続きを踏んできたのに、いまさらなぜ」(幹部)との声が上がる。オリックスも「入札は赤字の事業を全従業員とともに引き受けるという条件で公正に行われ、問題はない」(社長室広報担当)と戸惑っている。【前川雅俊】
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