昨年大みそかに東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」は5日、同公園から撤収し、厚生労働省の講堂や同公園のテントで宿泊してきた元派遣社員らのうち約350人が、都や中央区が用意した都内4施設に移った。
4施設では12日まで元派遣社員らを受け入れる。
この日は、派遣村登録者のうち75人が、日比谷公園のある千代田区に生活保護を申請。同区は栄養失調などで治療を必要とする人など10人の生活保護開始を決定し、生活保護費を即日支給した。6、7日も、新たに計約160人が同区に生活保護を申請してくる予定という。昨年末、埼玉県のプリンター製造工場で「派遣切り」に遭った男性(39)は「まさか自分が生活保護を必要とするとは思わなかった」と疲れた表情だった。
一方、派遣村登録者の受け入れ先の一つとなった元小学校の多目的施設「京華スクエア」(中央区)には5日夕、元派遣社員ら78人が、「派遣村」の実行委員会が用意したバスに分乗するなどして到着。毛布を敷きつめた体育館の中で、都の用意した弁当を食べるなどしてくつろいだ。同スクエアでは、東京労働局が「緊急特別相談窓口」を設け、元派遣社員らの就職相談に乗る予定だ。
日雇い派遣の警備員をしながら都内のネットカフェで約5か月間、寝泊まりしていた20歳代の男性は「少しの間だが、過ごせる場所が見つかってよかった」とホッとした様子で話した。
実行委によると、同村への登録者は最終的に505人で、4日夜の宿泊者は489人。実行委は今後も存続し、4施設に移った人の支援を続ける。派遣村に寄せられたカンパは現金だけで2315万円にのぼり、実行委が負担した食材やテントの購入費などに充てられるほか、今後の支援活動に使われる。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20090106-OYT1T00035.htm