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2009年01月06日(火) 00時00分

派遣村 4施設に分散読売新聞

 昨年大みそかに東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」は5日、同公園から撤収し、厚生労働省の講堂や同公園のテントで宿泊してきた元派遣社員らのうち約350人が、都や中央区が用意した都内4施設に移った。4施設では12日まで元派遣社員らを受け入れる。

350人引っ越し 宿泊と就職支援

年越し派遣村から移動し、受け入れ先の京華スクエアで手続きをする元派遣社員ら(5日午後5時過ぎ、東京・中央区八丁堀で)=吉岡毅撮影

 この日は、派遣村登録者のうち75人が、日比谷公園のある千代田区に生活保護を申請。同区は栄養失調などで治療を必要とする人など10人の生活保護開始を決定し、生活保護費を即日支給した。6、7日も、新たに計約160人が同区に生活保護を申請してくる予定という。昨年末、埼玉県のプリンター製造工場で「派遣切り」に遭った男性(39)は「まさか自分が生活保護を必要とするとは思わなかった」と疲れた表情だった。

 一方、派遣村登録者の受け入れ先の一つとなった元小学校の多目的施設「京華スクエア」(中央区)には5日夕、元派遣社員ら78人が、「派遣村」の実行委員会が用意したバスに分乗するなどして到着。毛布を敷きつめた体育館の中で、都の用意した弁当を食べるなどしてくつろいだ。同スクエアでは、東京労働局が「緊急特別相談窓口」を設け、元派遣社員らの就職相談に乗る予定だ。

 日雇い派遣の警備員をしながら都内のネットカフェで約5か月間、寝泊まりしていた20歳代の男性は「少しの間だが、過ごせる場所が見つかってよかった」とホッとした様子で話した。

 実行委によると、同村への登録者は最終的に505人で、4日夜の宿泊者は489人。実行委は今後も存続し、4施設に移った人の支援を続ける。派遣村に寄せられたカンパは現金だけで2315万円にのぼり、実行委が負担した食材やテントの購入費などに充てられるほか、今後の支援活動に使われる。

福島県200人臨時雇用

 福島県は5日、景気悪化で職を失った非正規労働者ら約200人を臨時職員として直接雇用すると発表した。3月までの期間限定で、道路や河川の保守点検、データ入力などの事務補助を予定している。財源は今年度予算の予備費約5000万円をあてる。ほかに、県事業を民間に委託するなどして、約40人の雇用を創出するとしている。また、老朽化した県営住宅を修繕し、社員寮などを退去した人を対象に約50戸を通常の半額の家賃で貸し出す。

派遣村「本当に働こうとしている人たちか」 坂本哲志総務政務官

 坂本哲志総務政務官(自民、衆院当選2回)は5日、総務省の仕事始め式のあいさつで、東京・日比谷公園の「年越し派遣村」について、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのかな、という気もした」と述べた。

 さらに、「『(厚生労働省の)講堂を開けろ』『もっといろんな人が出てこい』(と要求される)。学生紛争の時に『学内を開放しろ』『学長よ出てこい』(と学生が要求した)。そういう戦術、戦略がかいま見える気がした」と語った。

 坂本氏は地元の熊本県では厳しい経済状況の中で助け合っているとしたうえで、派遣村のあり方に触れた。

 民主党の小沢代表、国民新党の綿貫代表ら両党幹部は5日夜、都内で会談し、坂本氏への辞任要求も視野に、発言の責任を追及することで一致した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/yuragu/yuragu090106.htm