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2009年01月06日(火) 19時42分

“過払いビジネス”の「朝日ホームロイヤー」、業務停止へ 1月5日から2週間MyNewsJapan

 景気が悪化するなか、借金を重ね多重債務に陥った人に対して、「過払い金返還代理人」をうたって手数料を受け取りながら数年間も放置するといったずさんな処理をしていた大手司法書士法人「朝日ホームロイヤー」(東京都新宿区)が、新年早々、業務停止処分を受けることがわかった。

 遠方に在住する多重債務者を、全国区のCMで勧誘し、面談抜きで受任するというモラルなき「過払いビジネス」に、監督当局がようやく摘発に乗り出した。

 業務停止処分命令は1月5日、監督者である東京法務局長から、ロイヤー代表の奥出欣二司法書士に文書で手渡される。処分期間は同日から18日までの2週間。詳細は明らかにされていないが、地方の多重債務者について面談もせずに債務整理を受任、数年間も放置するなどした事実が問題視されたとみられる。
 
 2008年12月29日、筆者は事実確認のため、東京・市ヶ谷にある朝日ホームロイヤーの事務所を訪れた。防衛省に近い瀟洒なオフィスビルの12階に上がると、廊下の突き当たりに「朝日ホームロイヤー」の看板が目に入る。左手のガラス戸越しに中をうかがうと、年の瀬にもかかわらず大勢の事務員らしい職員が机に向かって作業をしている。

 やがて応接室に現れた事務局長の清水弘興氏に、単刀直入に尋ねた。

 三宅 業務停止処分されると聞いているが、そういう事実はありますか。

 清水 はい。あります。

 清水事務局長はあっさりと認めた。だが質問を続けようとした途端、口を閉ざした。

 清水 わが方は法律に基づいて守秘義務が課せられています。

 三宅 どういう法律ですか?

 清水 いや、それはあなたが調べてください。

 三宅 いや、あなたが「守秘義務」でお話できないとおっしゃっているんですから、どういう法律に基づいて話せないのか説明してください。

 清水 あらゆる法律と関係してきますので…説明するには時間がかかるんで…

 「守秘義務」を繰り返し、要領を得ない。そこで、すでに聞き及んでいた処分内容をぶつけてみる。

 三宅 地方の依頼者を面談もせずに受任し、さらに何年間も放置していた、そういう事件だと聞いているんですが。間違いないですか?

 清水 個々の案件については守秘義務があるから話せません。

 三宅 司法書士法人「朝日ホームロイヤー」の業務に関すること、どんな問題があったかを聞いているんです。個々のことを聞いているのではありませんよ。

 清水 守秘義務があるから話せません。

 三宅 じゃ、その法的根拠を。

 清水 法的根拠も守秘義務があって話せません。いっさい話すつもりはありません。

 三宅 説明になっていませんが…

 清水 だから結構です。あなたがどう書かれようと。解釈した範囲でお書きになって結構です。

 とりつく島がない。「説明責任というのはないのか」とも質したが、清水事務局長は「ありません」と言い切った。コンプライアンス意識の乏しさを自ら暴露するかのような口ぶりであった。

(三宅勝久)


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