2009年01月05日(月) 20時16分
<天然ガス供給停止>露とウクライナ対立、余波は欧州に拡大(毎日新聞)
【モスクワ大前仁】ロシアのウクライナ向け天然ガス供給停止をめぐる両国の対立が、長期化の様相を見せている。ロシアが06年1月に供給停止した際は3日間で解決したが、今回は双方とも強硬姿勢を貫いており、供給停止から5日過ぎても再開のめどは立っていない。対立の余波は欧州に拡大している。
ロシアは3年前のウクライナへのガス供給停止で、影響が出た東・南欧はじめ、ドイツ、フランスなど西欧主要国から強い批判を浴びた。危機感を募らせた当時のプーチン政権は、国産ガスに安価な中央アジア産ガスを混ぜてウクライナに輸出する異例の措置で再開にこぎ着けた。
しかし、両国は今回、欧州関係国との折衝を強めているものの、2国間で中断しているガス価格などの交渉を再開する兆しはない。
ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムは4日夜、ウクライナ向けガス価格について、これまで提示していた額より値上げすると表明し、ウクライナへの圧力を一層強めている。ロシアの強硬姿勢の背景には、昨年8月のグルジア紛争でグルジアを支援したウクライナのユーシェンコ政権に対する懲罰的な意味合いが指摘されている。
一方、ウクライナが歩み寄りに応じない要因として、06年の教訓から天然ガスの国内備蓄を増やしたことが挙げられる。英紙フィナンシャル・タイムズによると、年間消費量の2割が備蓄されているという。また国際的な金融危機で、ロシア側の要求に容易に同意できない事情も絡む。
ロイター通信などによると、欧州では5日までに、ウクライナを経由するロシア産ガス供給の低下がギリシャ、ブルガリア、クロアチア、トルコなどでも確認された。ロシアとウクライナの対立が長引けば、影響を受ける国がさらに増えることも予想される。
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