2009年01月05日(月) 11時41分
<時効>見直しに関する勉強会設置を表明 森法相(毎日新聞)
森英介法相は5日の閣議後会見で、重大事件の公訴時効見直しに関する勉強会を省内に設置することを明らかにした。殺人など法定上限が死刑に当たる罪(05年以降の発生は25年)について、引き上げの是非を検討する。3月をめどに論点整理する方針で、森法相は「時効のあり方について、さまざまな声を検討していく。結論ありきでなく、論点の洗い出しに主眼を置く」と述べた。
勉強会設置は、未解決殺人事件の被害者遺族の強い思いの広がりを背景に法相が決めた。昨年9月、東京都葛飾区の上智大生殺害事件(96年9月)の遺族が凶悪事件の時効撤廃を要望。同12月には世田谷区の一家4人殺害事件(00年12月)の遺族も加わって会見し、殺人事件の時効停止を訴えた。全国犯罪被害者の会(あすの会)も同11月、被害者参加制度の適正運用などとともに時効の廃止を求める決議をし、森法相に申し入れた。
DNA型鑑定の進歩で長期の証拠保存が可能になったが、法務省内には、死体遺棄罪(公訴時効3年)や傷害致死罪(同7年)など殺人に類する時効とのバランスや、時効が伸びた場合に証言者の記憶が薄れるなどの懸念もある。勉強会は遺族感情を可能な限り尊重した上で、刑事罰のバランスを検討する。
刑事訴訟法は、犯罪行為から一定期間が過ぎると容疑者を起訴できないと定めている。時間の経過とともに証拠が散逸することや、長期捜査の効率面が根拠とされる。厳罰化の流れを受けた刑事訴訟法の改正で05年以降、殺人罪は15年から25年に延長された。【石川淳一】
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