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2009年01月05日(月) 02時33分

<迂回融資>三井住友行員が1億円…審査の決算書改ざん毎日新聞

 三井住友銀行(東京都千代田区)の新宿法人営業第2部グループ長だった男性行員(45)=現在業務監査部付=が06年、担保能力がなく融資不可能な不動産会社「コシ・トラスト」(渋谷区)に対し、別の自動車輸入販売会社「オービット・トレーディング」(品川区)を介して約1億円の「迂回(うかい)融資」をしていたことが同行関係者などの話で分かった。オービット社の決算書が改ざんされていたことから、同行はコシ社による詐欺などの疑いで警視庁に被害届を提出した。【杉本修作、永井大介、酒井祥宏】

 コシ社が紹介した融資案件では、三井住友で約100億円、三菱東京UFJ銀行(千代田区)で十数億円の焦げ付きが昨春明らかになったが、行員の不正融資が判明したのは初めて。この迂回融資は同行の内規違反で、金融庁も融資の詳しい経緯について同行から事情を聴いている。

 複数の関係者によると行員は06年春、コシ社の社長(40)から沖縄県の産業廃棄物処理用地購入資金約1億円の融資を依頼された。しかし上司が「産廃の土地は担保にならない」と判断し、融資を見送った。

 ところが、コシ社の社長が金融機関口座の管理をして実質的に経営しているオービット社の運転資金として融資する案を持ち掛けると行員も承諾。コシ社側が売上高を数十倍水増しした虚偽の決算書などを基に行内の審査をパスし、06年秋に約1億円を融資した。融資金は同じ日にコシ社側に渡り、その後の返済は一切ないという。

 行員はこの案件以外にもコシ社の依頼で複数企業への融資を仲介していた。一方で、都内の高級ホテル宿泊代をコシ社につけ回ししたり、社長が所有するクルーザーで東京湾に繰り出し飲食の接待を受けるなどしていたという。この行員以外にも鶴見法人営業部(横浜市)の男性行員らが数年前にコシ社から同様の接待やマンションの家賃一部肩代わりを受けていたことが、行内調査で判明した。

 同行は、コシ社の紹介案件の大半が決算書類などの偽造書類に基づく融資申請だったとして、警視庁に被害届を提出している。

 信用調査会社などによると、コシ社は00年7月に設立され資本金は3億円。06年6月期には125億円を売り上げたが、その後業績が悪化。07年9月に全従業員を解雇して休眠状態となっている。

 ◇管理体制強化する…三井住友銀行広報部の話

 警察に相談済みで詳細なコメントは控えたい。一部取引で内規違反があったことを踏まえ、審査・管理体制をさらに強化し、再発防止に努めたい。

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