自民党の渡辺喜美元行政改革担当相の離党が五日、避けられない情勢となった。
渡辺氏は同日、早期の衆院解散や定額給付金の撤回など七項目の要求の実現を求める麻生太郎総裁(首相)あての文書を党執行部に提出。この後の記者会見で「
これに対し麻生太郎首相は官邸で記者団に「いま解散するより、きちんと政策を実行する方が大事」「定額給付金をやめるという話をする気はない」と述べ、要求には応じない考えを表明。さらに「離党する、しないは個人の話なので答えようがない」とし、離党もやむを得ないとの認識を示した。
渡辺氏は今月中旬に見込まれる二〇〇八年度第二次補正予算案と関連法案の採決で造反するとみられ、早ければこれに先立ち離党する可能性もある。党執行部は同調者はいないとみているが、知名度の高い渡辺氏の離党は政権への打撃になりそうだ。
渡辺氏は五日、国会内で石原伸晃幹事長代理に会い、要求文書を渡そうとしたが、石原氏が受け取らなかったため、そのまま置いて帰ったという。
文書は首相の政権運営を批判した上で(1)早期の解散と危機管理内閣の立ち上げ(2)定額給付金の撤回など第二次補正予算案の修正(3)「平成復興銀行」を創設し産業再生—などを要求。「提言が速やかかつ真摯に検討、審議されない場合、政治家としての義命により自民党を離党する」とした。
細田博之幹事長もこの後の記者会見で「給付金や予算案は政党として正規の決定を経て閣議決定した。個々の見解はさまざまあるだろうが、方針は揺るぎがない」と首相と同様の見解を示した。