日銀は五日、二〇〇九年度の実質経済成長率見通しを、〇八年十月時点の0・6%からマイナス成長へと大幅に下方修正する検討を始めた。世界経済の後退で急減した輸出の早期回復が見込めないことや、雇用情勢が悪化度合いを深めているためで、成長率はマイナス1%前後まで落ち込むとの予測を示す見通しだ。
日銀の予測は、各種の政策効果を期待して0・0%成長としている政府見通しを下回ることになる。企業の資金繰りが苦しくなる年度末にかけて一段の金融緩和を迫られる可能性がある。
日銀は二十一、二十二日に開く金融政策決定会合で、十月に示した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価を行い、一〇年度までの成長率の修正見通しを公表する。
金融危機を受け、米国経済は、住宅価格の下落に歯止めがかからず個人の消費意欲が大きく後退。日本経済は輸出低迷の長期化に加え、輸出産業を中心にした雇用調整の深刻化も予想される。
日銀は「国内景気は当面厳しさを増す可能性が高い」(白川方明総裁)と判断しており、昨年十二月に0・2%の追加利下げを実施。展望リポートにも十一月以降の実体経済の情勢変化を反映させる。
日銀は企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)買い取りを決めるなど事実上の量的緩和に踏み切っているが、年度末に向けては、量的緩和の拡大や金融機関が保有する株式の買い取り再開などが検討課題となる。