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2009年01月05日(月) 22時49分

パズルのような運行計画、システム熟知せず 新幹線トラブル産経新聞

 年末の帰省ラッシュを直撃した昨年12月29日の新幹線トラブル。悪天候などで前日のダイヤが大きく乱れたことで、新幹線総合システム「コスモス(COSMOS)」への入力データが膨大になったことが直接の原因だったが、車両の種類が多く運用計画の変更が「パズルのよう」(JR関係者)に難しかったことや、JR東日本がコスモスのデータ切り替え時の特性に熟知していなかったことも背景にあった。

 同社の新幹線は東京駅始発の東北、長野、上越新幹線が、大宮駅で仙台、長野・新潟方面に分岐。東北新幹線に連結している山形、秋田新幹線は福島駅、盛岡駅で分離し、在来線と線路を共有する。

 200系、400系、E1〜4系の6車種あるが、在来線規格のミニ新幹線から、オール2階建てまでサイズや編成、座席数はさまざま。長野新幹線のE2系0番台は急坂や電源周波数の切り替えに対応しているため代替がきかない。

 12月28日は、大雪や強風による影響と車両故障で、山形、秋田、長野の各新幹線はダイヤが乱れ、途中で東北新幹線と連結するはずのミニ新幹線が単独で走行するなど車両の運用も大幅に変更。最終的に多くの車両が別の車両と待機場所が入れ替わる状態となり、翌日始発からの運用計画も大幅な変更を迫られた。

 コスモスは、4日先までの運行データをあらかじめ入力。ダイヤ編成、進路制御(ポイント切り替え)、車両運用計画のほか、各車両の経年数や走行距離まで管理している。

 平時であれば、最終運転後の午前0時20分に自動的に当日のデータに切り替わるが、変更する場合はあらためて入力し直さなければならない。

 29日は、通常1人で行う運用計画の変更を新幹線運行本部の指令長ら5人で進めたが、6種類ある車両の編成数や座席数はさまざまで、限られた車両しか走れない区間もある。

 加えて帰省のピークに当たることから通常310本程度のところを389本まで増発していたことで、予備車がほとんどなく、運用計画の変更は困難を極めたという。

 昨年9月28日に運行システムの障害で約4時間にわたり全新幹線が運休した際でも午前3時までに作業が完了していたといい、システム内のデータが容易に切り替わらなくなる午前5時以降までかかるのは「想定していなかった」(運輸車両部)。

 また、午前5時以降も始発の午前6時を目指して作業を続けていた担当者らも「ずれ込んだ場合にここまで大きな影響が出るとは予想していなかった」(同)という。

 JR東は再発防止策として「今後は態勢を強化し早めに運用計画の変更に取り掛かり、午前5時までに作業を終わらせる」としている。それでも間に合わない場合、1日分の運用計画が未完成でもできた部分から、午前5時前にデータを切り替え、始発には影響が出ないようシステム運用を変更するという。

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