【エルサレム4日共同=島崎淳】イスラエル軍は三日夜(日本時間四日未明)、イスラム原理主義の強硬派ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ北部に地上部隊で侵攻作戦を始めた。空爆なども継続、各地で軍とハマスの激しい戦闘が発生し、ガザ地区では民間人も含め多数の死傷者が出ているもようだ。ロイター通信によると、イスラエル軍は四日、主要幹線道路を制圧しガザ地区を南北に分断、戦車部隊などで主要都市ガザ市を包囲した。
イスラエルが二〇〇五年にガザから撤退後、最大規模の侵攻作戦。昨年十二月二十七日の空爆で始まったガザへの大規模攻撃は、八日目で地上戦という新局面に突入。国際社会からは即時停戦を求める声が相次いだ。
ハマス報道官は、イスラエル兵にとり「ガザは墓場となる」と警告しており、戦闘長期化の恐れもある。
AP通信が伝えた救急当局者の話では、パレスチナ人計二十三人が死亡、このうちハマスのメンバーは三人で残りは民間人。死傷者数はさらに増える見込み。イスラエル軍によると、四日朝までに兵士三十人が負傷し、うち二人が重傷。
地上侵攻は大規模作戦の「第二段階」で「ハマスのロケット弾発射地域の制圧」が目標。イスラエルのオルメルト首相は閣議で「この作戦は避けられなかった」と強調。バラク国防相も声明で「作戦は容易でも短期間でもない」とし、長期戦も辞さない決意を示した。
作戦には歩兵、戦車、砲兵部隊や空軍、海軍が参加。軍部隊はガザ北部のエレズ検問所付近など数カ所から侵攻、ロケット弾の発射拠点である北部ベイトラヒヤ周辺などを制圧した。ハマスはイスラエル領内へのロケット弾攻撃を継続した。
APによると、軍はガザ周辺に展開中の兵士約一万人に加え、レバノンとの国境やヨルダン川西岸での警戒にも充てるため「数万人」の予備役招集に着手した。
侵攻開始に先立ち、軍は三日、ガザ北部のモスク(イスラム教礼拝所)を空爆、APによると、礼拝中の十三人が死亡した。ロイター通信によると、空爆開始からの死者はパレスチナ人約五百人、イスラエル人四人。