2009年01月04日(日) 08時01分
夜空に“光の大樹” 江戸情緒を演出 東京スカイツリー構想(産経新聞)
下町の夜空に“世界最高”の光のアートを。平成24年春の開業に向けて建設が進む新タワー「東京スカイツリー」(東京都墨田区)で、四季の移ろい、江戸の情緒を意識しながら、塔の周辺を含めた空間に、和風のライトアップを行う構想が動き始めている。構造物を照らすだけではなく、色や陰影を自在にコントロールできる照明装置を使い、夜空に斬新な“光の大樹”を作り出すことが狙いだ。(村上智博)
新タワーは自立型の鉄塔では世界で最も高い610メートル。ライトアップは、新進気鋭の照明デザイナー、戸恒浩人(とつね・ひろひと)さん(33)がプランを担当する。計画では、タワー全体の形をくっきりと照らすのではなく、夜空に溶けこむように陰影を強調しながら光を照射する。巨大な樹木がそびえているイメージにしたいという。使用する照明装置は全体で約1000基。特注品で省エネを意識し、発光ダイオード(LED)も積極的に採用する。周辺への光の漏れを軽減させる仕掛けも使う。「陰と陽、相反するものを組み合わせる美しさ、日本人独特の光に対する感性、そういったものを世界に発信したい」と戸恒さん。
斬新なアイデアは、江戸の祭り、娯楽などをテーマにした演出と、四季の変化を表現すること。春は桜の花が咲くイメージ、夏は隅田川の花火、七夕など。たとえば着色フィルターをライトに装着して光を当て、光源は点滅させながら、桜の花びらの模様を動かす。
「照明は目にして5秒間で興味を引くことが勝負。短い時間で花がちらつき、風で舞うのが分かるようにうまく見せたい」。それで桜の名所、隅田公園の開花状況を表現したり、秋には紅葉の様子を紹介したり。中秋の名月では照明を暗くして月が浮き立つようにしたり、雲が低いときには光で雲に模様を描き、2カ所の展望台から観察できるプランもあるという。
タワーの建設が約3分の1の高さまで進む今年夏にも照明実験に取りかかり、プランが実行可能かを検証する。戸恒さんは「タワーを大人も子供も楽しめるオモチャのような存在にしたい」と張り切っている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000028-san-soci