2009年01月04日(日) 08時01分
露ガス停止 東欧は最大4割減 EU懸念、近く対応協議(産経新聞)
【ベルリン=黒沢潤】ロシアがウクライナ向けの天然ガス供給を停止したことを受けて、同国経由でロシア産ガスを輸入している欧州連合(EU)の加盟国内では懸念が強まっている。東欧の少なくとも4カ国では3日までに、最大で40%の供給低下が確認され、EU議長国のチェコはロシアとウクライナに、事態の解決を求める緊急声明を発表した。EU各国は近く、高官級会合を開き、対応を協議する。
ロイター通信によれば、国内ガスの9割以上をロシア産に依存するブルガリアでは3日、供給量の低下が確認された。国営ガス会社の幹部は具体的な数値を公表しなかったが、同国経由でマケドニアやギリシャに供給されるガス量に影響が出ることが予想される。
約3分の1をロシア産に頼るルーマニアでも2日、供給量が30〜40%低下した。30億立方メートルの備蓄を切り崩して対応するが、国内の気温は今週末、氷点下15度に下がるとみられ、国民の間で不安が広がっている。
ハンガリーは約25%減。11%減少したポーランドは現在、不足分をベラルーシ経由のガスで補っている。
ロシアはウクライナが契約に反し、ガスを抜き取ったことが問題の原因だと非難した。ウクライナ側はこれに対して3日、ウクライナ向けの供給が再開されなければ、約2週間後に欧州向けの供給が止まる可能性があると警告した。
EU議長国のチェコは、今回の事態発生当初、「ロシアとウクライナの2国間問題だ」と語った。だが、ガスの約3割をロシア産に依存し、その8割をウクライナ経由で輸入するEU域内に影響が出ていることもあり、チェコ政府は2日、態度を転換させた。
同国政府スポークスマンは緊急声明で、「EUと(ロシアなど)隣国の関係は、信頼感によって築かれなければならない」と、事態の早期解決を強く求めた。また、「(事態は)特別会合を開く状況にまでエスカレートしている」とも強調し、ブリュッセルで5日、EUの会合を開く方針も示した。
ロシアは昨夏のグルジア紛争で、一貫して強硬姿勢を崩さなかった。また、2006年初頭に続く今回のガス供給停止によって、欧州の対露不信感は増幅している。ドイツなどEUの数カ国は事態を楽観視しているが、厳冬の今年、供給の停止期間が長引けば、対露批判が強まりそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000035-san-int