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2009年01月04日(日) 06時02分

「新・山の神」は旧山古志村で誕生した…東洋大箱根駅伝Vに長島元村長号泣!スポーツ報知

母校の初優勝に感激の涙を流した長島忠美衆院議員

 「山の神」には「山越し(山古志)の神」が宿っていた—。箱根駅伝で初の総合優勝を果たした東洋大の偉業に、同大OBの旧山古志村村長・長島忠美衆院議員(57)は「子供たちが奇跡を起こしてくれました」と号泣した。今夏の山古志合宿を耐え抜き、見事頂点へと上り詰めた後輩たちに「(東洋大を)箱根駅伝で優勝させる会」会長も務める長島氏は「感激です。すごいヤツらです」と感謝の言葉を選手たちに贈った。

 「奇跡です! 子供たちが奇跡を起こしてくれました」—。歓喜の声を上げる後輩たちの姿に、長島議員は人目もはばからず号泣してしまった。復路のレース中は東京の事務所で来客と会談中だったが、いてもたってもいられずテレビのスイッチをON。アンカーの高見がゴールテープを切った瞬間、熱いものがほおを伝った。

 長島氏は一昨年5月から「(東洋大を)箱根駅伝で優勝させる会」会長に就任。ちなみに前会長は、あの植木等さん(東洋大OB)で、植木さんの死去により長島氏が後を引き継いでいた。

 総合Vの瞬間はテレビ観戦に甘んじたが、2日の往路は箱根に駆けつけライブで声援。5区の山上り。タスキを引き継いだ柏原を見送ると、先回りし芦ノ湖のゴール地点へ。さすがに優勝は早大かと思っていたら、最初に目に飛び込んできたのは見慣れた濃紺のユニホームだった。「9位だったのに早稲田の前にいるなんて…。夢かと思いました」。レース後は宿舎を訪ね、マネジャーに祝福と激励の言葉を伝えた。

 長島氏とともに箱根には17人の旧山古志村村民の姿もあった。04年10月の新潟県中越地震。壊滅的な被害を受け全村避難となった村で、大きな力となってくれたのが長島氏の後輩たちだった。東洋大から延べ4000人ものボランティアが訪れ復興を支援。陸上部員たちも参加し、タスキならぬ支援物資をリレーでつなぎ、村民たちをサポートした。

 避難解除から1年4か月が過ぎた昨年8月。念願だった陸上部の山古志合宿が実現。部員たちは起伏の多い山古志の山道を駆けめぐり、箱根の山を走る力を養ったという。5区で驚異的な区間記録を樹立し「山の神を超えた」と称された柏原の両足に宿っていたのは「山越し(山古志)の神」でもあった。

 大会前には、部員が強制わいせつ罪で逮捕される事件もあった中での初優勝。「卒業生として恥ずかしかった。そんな中で、本当に優勝してくれるなんて…。まだドキドキしてます」。複雑な思いを抱えながら母校に栄光をもたらしてくれた後輩たちを、男としてたたえた。

 ◆東洋大 1887年創設の「私立哲学館」が前身。1906年に東洋大と改称。建学精神は「諸学の基礎は哲学にあり」。東京・文京区白山に本部を置く私立大学。学部は全部で9学部。受験生向けパンフレットのイメージキャラクターに、人気アニメ「ムーミン」(物語の中に哲学的な要素を含む)を使用し話題となる。東都大学リーグに所属する硬式野球部は、達川光男(スポーツ報知評論家)、今岡誠(阪神)ら多くのプロ野球選手を輩出。主なOBに坂口安吾(作家)、内田康夫(作家)、長嶋有(作家)、植木等(タレント)、サンボマスター(ミュージシャン)、岩瀬達哉(ジャーナリスト)、真鍋由(テレ朝アナ)、延友陽子(日テレアナ)ら。(敬称略)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090104-OHT1T00014.htm