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2009年01月04日(日) 21時29分

<ガザ地上侵攻>イラン、米欧やアラブ批判毎日新聞

 【テヘラン春日孝之】イスラエルによるガザ地区への攻撃を巡り、イランはイスラエルだけでなく、ハマスに非難の矛先を向ける米欧やアラブ諸国をも厳しく批判している。イランが支援するハマスに対する非難が、中東でのイランの影響力排除を狙った動きにほかならないとみなしているからだ。

 イランの最高指導者ハメネイ師はイスラエル軍の空爆開始翌日の先月28日、声明でイスラエルを「血に飢えたオオカミだ」となじる一方、「より大きな災いは、一部のアラブ・イスラム諸国の沈黙だ。それは(イスラエルへの)称賛に等しい」と断罪した。

 その後、米欧やアラブ諸国がハマスへの非難を始めたことで、イランでは抗議行動がエスカレート。ブラウン英首相が「イスラエルには自国民を守る義務がある」と述べたのに対し、イスラム強硬派学生ら約300人は同30日、テヘランにある英外交施設の庭園を占拠、1時間後に治安警察に退去させられた。抗議はエジプトやヨルダンなど親米アラブ諸国にも向かい、大使館などの前で数千人規模のデモを展開した。

 イランのモッタキ外相は2日、一部アラブ諸国を「裏切り者」と批判。特にエジプトに対し「イスラエルのガザ封鎖に加担している」と指弾した。エジプトのアブルゲイト外相は「イランはスローガンを叫ぶ以外、パレスチナ問題の解決には何もしていない」と反発している。

 パレスチナ情勢に詳しいイラン人ジャーナリスト、ザイディアバディ氏は「イラン指導部にはアラブ諸国がイスラエルと結託してハマスをつぶそうとしていると映る。また、ハマスつぶしはイラン攻撃に等しいと認識している」と解説する。

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