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2009年01月04日(日) 21時26分

<ガザ地上侵攻>アラブ諸国に無力感…対ハマスで乱れ毎日新聞

 【カイロ高橋宗男】イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻を受け、アラブ諸国はこれを「侵略」だと非難するとともに、停戦決議を取りまとめられない国連安保理に対し批判を強めている。ただこうした批判の裏には、イスラム原理主義組織ハマスを巡り穏健派と強硬派に割れるアラブ諸国の足並みの乱れがあり、「アラブの連帯」を体現できない無力感が透けて見える。

 エジプト大統領府は4日、「地上侵攻開始を最大限非難する」との声明を出し、イスラエルに作戦の即時停止を求める一方、国連安保理と、米露、国連、欧州連合(EU)で作る「中東和平カルテット」に侵攻停止のため速やかに責任を果たすよう要請した。

 エジプト政府系の中東通信によると、アブルゲイト外相は「即時停戦を要求できなかったことをイスラエルは侵攻への青信号とみなした」と国連安保理を非難。さらに「常任理事国のメンバーは決議採択を阻むことで作戦継続の猶予を与えた」と、名指しを避けつつも米国批判を繰り広げた。

 だがこうした批判の一方、アラブ諸国が一致して有効策を打ち出せないことも明白だ。アラブ連盟(22カ国・機構)は12月31日に緊急外相会議を開催したが、カタールが提案した首脳会議の開催はエジプトやサウジアラビアの反対で実現しなかった。結局、サウド・サウジアラビア外相ら6カ国の外相を5日からニューヨークの国連本部に派遣、早急な停戦決議採択を求める対応にとどまり、安保理にげたを預けた形だ。

 アラブ諸国が連帯できない背景には、パレスチナ自治政府を主導するパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハを支持するエジプトやサウジアラビアなどの穏健派と、ハマスを支援するシリアやレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラといった強硬派の間の温度差がある。

 エジプトは人道物資と負傷者の搬送以外でガザ境界の開放を拒絶。これはアッバス自治政府議長の正統性を損ない、ハマスに有利な状況を作り出すと懸念しているためとみられる。穏健諸国には、ハマスやシリア、ヒズボラに影響力を持つイランへの警戒感も強い。

 ただ、シリアやヒズボラなどの強硬派もイスラエルに対抗する手段を持ち合わせていない。イスラエル側はヒズボラによる北部への攻撃を警戒するが、ヒズボラも06年夏の第2次レバノン戦争のような被害を招きたくないのが実情だ。

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