2009年01月04日(日) 21時19分
JAL、ANAが経営戦略抜本見直し…設備投資を大幅減額(読売新聞)
景気悪化に伴う航空需要の低迷で業績が落ち込んでいる日本航空と全日本空輸の国内航空大手2社が、中期的な経営戦略の見直しを迫られている。
成田、羽田空港の発着枠が増える2010年を控え、商機拡大を狙った当初の積極的な投資計画を大幅に修正せざるを得ない状況だ。
08年10月の国際線旅客の輸送実績は、日航が前年同月比14%減、全日空が同10%減と低迷。特に欧州や中国路線が大きく落ち込んだ。国際線は11月以降も「20〜25%の落ち込み」(西松遥・日航社長)となった模様だ。
急速な景気悪化でビジネス客の需要が総崩れに近く、経費節約のために「出張禁止令」を出す企業もあるほどだ。山元峯生・全日空社長は「坂道を転げ落ちている感じだ」と嘆く。
こうした経営環境の悪化を受け、両社は08年度にスタートしたばかりの中期経営計画を抜本的に見直す作業を続けている。日航は、燃費の良い新型機の購入を数機取りやめ、08〜10年度の3年間で4190億円を予定していた設備投資を1000億円削減する。
全日空も08〜11年度の4年間で約9000億円を投じる予定だった設備投資計画を1000〜2000億円減らす。新型機への更新を抑えるほか、国内航空初となるエアバス社の最新鋭機「A380」の導入計画も白紙に戻す。09年度中にアジアの航空会社に出資して格安航空事業に参入する構想も事実上、棚上げする方針だ。
一方、両社が注目するのが、燃料コストを押し上げていた原油価格の下落基調だ。日航、全日空ともに燃料価格の高騰を理由に、乗客から徴収していた燃油特別付加運賃(サーチャージ)を廃止する可能性が出てきた。
サーチャージは、3か月間の平均燃料価格が1バレル=60ドルを割り込めば廃止する規定となっており、直近の価格が60ドル前後で推移しているためだ。日本−北米、欧州線で片道2万2000円のサーチャージが廃止され、航空運賃が下がれば、海外旅行の需要回復につながるとの期待は強い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000030-yom-bus_all