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2009年01月04日(日) 20時23分

100年後の「だんじり」のために 植林プロジェクト始動産経新聞

 100年後のだんじり祭のために−。大阪府岸和田市の「岸和田だんじり祭」の地元の曳(ひ)き手有志たちが、だんじり祭を将来の世代に引き継ぐための新たなアクションを起こしている。消耗品である「コマ」(車輪)の材料の国産マツの減少をきっかけに、だんじりに使用するさまざまな木材を植樹する「泉州だんじりの森プロジェクト」を推進する取り組み。だんじり製作時の廃材のリサイクルなどで収益を得て、だんじりづくりに必要な木の植林を行う循環型のだんじり保存を目指す。

 マツの生育を見据えた「100年の計」は、だんじりのコマの材料不足への懸念から始まった。

 だんじり研究家で同プロジェクト準備委員会委員の萬屋誠司さん(34)によると、泉州地方のだんじりは総数275台あり、年間で約1600個のコマが使用されている。

 だんじりは、スピードに乗ったまま直角に曲がる「やりまわし」が最大の見せ場。約4トンのだんじりを支えるコマは損傷が激しく、毎年多くのコマが各町のだんじりで使用されている。

 直径約60センチ、幅約30センチのコマの材料は、粘りが強く割れにくいアカマツが利用されてきたが、マツクイムシ被害もあって国産材が激減。合板材のコマも開発されているが、萬屋さんは「だんじり製作ができるある工務店が『マツ材のコマは数年先までしか安定して確保できない』と言うほど深刻な状況です」と危機的状況を訴える。

 このため萬屋さんら研究家やだんじり運行の責任者である年番長らが、「だんじりを守るためにアクションを起こそう」と一致。昨年12月初旬に準備委員会の設立総会を開き、第1弾の取り組みとして同月13日には、泉佐野市内で泉佐野市公園緑化協会と共催して「泉州だんじりの森@コスモ山植樹祭」を開催した。

 植林には約100人が参加し、マツ1000本や華美な彫物が美しいだんじり本体の材料となるケヤキ200本やヒノキ100本を植樹。参加した青年団の若者たちも「自分たちだけの祭じゃない」と、未来の曳き手たちのため懸命にスコップを動かした。

 今回の植樹は、社団法人国土緑化推進機構の緑の募金で行われたが、今後は植林活動を進めていくために収益の確保が必要。準備委員会では、だんじり新調や製材所などから出る廃材を回収、活用するなどして収益を確保したり、リサイクルしたりする計画で、将来的には公益財団法人を目指したいという。

 萬屋さんは「植樹はだんじり祭の長年の歴史で、お世話になった木への『お返し』という意味もある。そして、私たちが何よりも楽しいと感じるだんじり祭が、いつまでも続いてほしいというのが一番の願いです」と話している。

 準備委員会は、だんじり関連の廃材利用のアイデアや、植樹に関心のある個人、団体、山主などを募集している。問い合わせは、泉の和プロジェクト内の「泉州だんじりの森プロジェクト準備委員会」((電)072・479・7535)。

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