2009年01月04日(日) 20時07分
イスラエル戦車部隊突入、砲撃 ハマスと激戦(産経新聞)
【カイロ=村上大介】イスラエル軍は3日夜(日本時間4日未明)、パレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻を開始した。ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるロケット弾攻撃の阻止を理由としたイスラエル軍のガザ攻撃は、大規模空爆開始から8日目にして地上侵攻という新たな局面に入った。
現地からの報道によると、ガザ地区周辺に集結していた戦車部隊などイスラエル軍の地上部隊は、数千人がガザ地区北部のベイトラヒヤ付近など4カ所から突入し、4日にかけてハマスとの間で激しい交戦を続けている。イスラエル軍は、ガザ市を包囲し、市中心部に砲撃を加えた。
イスラエル軍報道官は侵攻開始から数時間の戦闘で、ハマスの戦闘員数十人を殺害したと発表。これに対して、ハマス側も複数のイスラエル兵が死亡し、2人を拘束したと主張しているが、いずれも確認できていない。一方、ガザ地区の医療関係者は、イスラエル軍の地上侵攻で、ベイトラヒヤなどのパレスチナ人23人が死亡したとしている。このうち、ハマスの戦闘員は3人で、残りは一般住民だという。
イスラエル首相府は「ロケットが発射されている地域の制圧が目的であり、イスラム原理主義者(ハマス)に手痛い打撃を与える」との声明を発表した。また、バラク国防相は「作戦遂行は簡単ではなく、短期間で終わるものではない」と述べ、戦闘長期化を示唆した。イスラエル軍は地上侵攻開始に先立ち、数万人の予備役を招集した。
これに対し、ハマスは「ガザ地区はイスラエル軍の墓場になるだろう」との声明を出し、徹底抗戦の構えを示している。
戦闘が長引けば、すでに壊滅的な状況に陥っているガザ住民の人道状況がさらに悪化するのは必至であり、約150万人が住む世界有数の人口密集地での地上戦は、8日間にわたる大規模空爆を超える被害を一般住民に与えるとの懸念が広がっている。市街戦となれば、イスラエル兵にも多数の死者が出ることが予想される。
フランス通信(AFP)によると、先月27日からこれまでのパレスチナ人の死者は、少なくとも485人にのぼり、負傷者も2400人を上回っている。
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