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2009年01月04日(日) 19時54分

主要107社・景気アンケート「不透明感」鮮明産経新聞

 産経新聞社が実施した主要企業107社アンケートでは、景気や市場の見通しに対して弱気な見方が広まっており、かつてない金融危機に伴う経済の先行き不透明感が浮き彫りになった。企業の業績や投資の計画にも慎重な姿勢がうかがえ、「厳冬」の様相を呈している。


◆「減益」が65%

 平成20年度の業績予想では、回答企業(107社)の53%の57社が「増収」と回答したものの、経常利益は「減益」が65%(69社)に上った。東証1部上場企業全体で、7年ぶりの経常減益に転じることは確実で、減益幅をいかに抑えるかが経営課題といえそうだ。その一方で、25%(27社)の企業が「増益」を予想している。

 21年度は一転して「増収」を予測するのは回答企業のうち、16%(17社)となり、20年度と比べ37ポイントも低下する。経常利益の「減益」は1%(7社)にとどまっている。ただ、21年度の業績予想については「その他」「未回答」とする回答企業が多く、景気が予想を上回るスピードで悪化するなか、先行きの業績が見通せない状況にあるようだ。

 民間シンクタンクの新光総合研究所の調査によると、東証1部上場の3月期決算企業の業績は20、21年度と2年連続で減収減益を予測している。世界同時不況による需要減と、急速に進む円高が主な要因としている。

 設備投資計画も消極的な回答が目立った。20年度に「増やす」としたのは回答企業のうち46%に当たる49社。一方、「減らす」としたのは32%(34社)に上った。

 21年度になると企業の慎重姿勢はさらに強まる。「増やす」と回答したのは9%(10社)にとどまり、「減らす」と回答したのは26%(28社)となり、「増やす」を17ポイントも上回った。


◆景気回復は22年以降に

 国内景気の回復は平成22年以降となる−。米国発の金融危機の影響で急速に悪化した景気に対して、多くの企業が後退局面の長期化を予測する。実体経済の先行きについて企業が厳しい見方を強めていることが改めて浮き彫りになった。

 21年の国内景気については「後退する」と答えた企業が最も多く、65%となった。「緩やかに後退する」と答えた企業と合わせると、実に92%の企業が今年も景気後退局面が続くとみている。

 回復の時期については、「22年1〜6月」と答えた企業が51%で過半を占めた。また「22年7〜12月」とした企業が13%、「23年以降」とみる企業も11%になるなど、景気の回復時期は、22年以降とする見方が優勢だ。

 一方、回復に必要条件な聞いたところ、107社のうち78社の企業が金融危機の震源地である「米国経済の回復」を挙げた。「中国・インドなど新興国の経済成長」を挙げた企業も11社で、外需に依存している日本経済の構造を示す回答結果となった。

 賃金が伸び悩み、雇用環境が厳しさを増すなか、消費者は生活防衛意識から財布のひもを一層、引き締めている。このため、「個人消費の拡大」を回復の条件に挙げる企業が40社となった。

 昨年9月中旬に米証券大手リーマン・ブラザーズが破(は)綻(たん)して以降、金融市場の混乱が拡大。その余波が実体経済に波及したため「国際金融市場の安定」を条件として答えた企業も37社あった。


◆年末株価「1万円台」

 平成21年末の日経平均株価予想は「1万円台」が28%(30社)と最多で、次いで「9000円台」24%(26社)、「8000円台」11%(12社)の順だった。昨年末の株価水準を少し上回るか、同程度との予想が大半だった。

 また「6000円台」以下はなく、「7000円台」は2社のみだった。昨年10月27日(終値)のバブル経済崩壊後最安値(7162円90銭)を割り込む可能性には、いずれも否定的な立場だが、「1万4000円台」以上の回答はなく、本格的な回復にはまだ時間がかかりそうだ。

 21年末の対米ドル円相場の予想は、「1ドル=95円以上100円未満」が32%(35社)で最多、「100円以上105円未満」20%(21社)、「90円以上95円未満」17%(18社)が続いた。相場が大幅に改善される見込みはなく、とくに輸出関連企業にとっては、今年も厳しい経営を迫られる1年となりそうだ。

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