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2009年01月04日(日) 19時06分

ブランド品より「野菜詰め放題」…初売り商戦、実用志向強く読売新聞

 09年の初売り商戦は、景気後退色が強まる中、消費者の生活防衛意識が浮き彫りになった。

 百貨店やスーパーの福袋の売れ筋は例年と様変わりし、食料品や肌着など実用品に集中した。高額商品でも金の置物などは売れ残り、正月とはいえ、無駄な出費が許されない家計の様子がうかがえた。

 東京・池袋の西武百貨店では約1100種類の福袋を用意したが、その中で意外なヒットとなったのが「野菜詰め放題福袋」だった。野菜約10キロが入るエコバッグにニンジン、ジャガイモ、タマネギを山盛りに詰め、メロン1個のおまけ付きで2009円。限定30袋が初売り初日の2日午前中に完売した。担当者は「百貨店で野菜の福袋は異色なのに、ここまで人気が出るとは」と驚く。

 ほかの百貨店でも、開店前に行列を作った客が、ブランド衣料などには目もくれず、食品フロアになだれ込む光景が見られた。大丸東京店では、缶詰や菓子など日持ちする食料品を詰めた福袋を1000円で販売、1000個が約1時間で売り切れた。

 食品以外でも消費者の実用志向は強く、今年の売れ筋は靴下やタオルなど日用品に集中した。そごう横浜店では、通常は値引き販売をしない化粧品の福袋が相次いで完売。イトーヨーカ堂でも、肌着や子供服など実用の衣料が好調だった。ただ、初売り全体の売り上げは購買単価の低下から百貨店、スーパーともに伸び悩み、大半の店で前年の売り上げを下回った。

 実用志向は高額商品の売れ行きにも色濃く反映された。恒例の干支(えと)をかたどった金の置物などを用意したが、売れ残りに。一方で、日本橋三越が2625万円で販売した省エネ新築住宅(土地は含まず)には6件の応募があった。住宅メーカーで購入するより2、3割安く、注目を集めた。

 銀座松屋で販売した子ども用ゴルフセット福袋(2万5000円)も10袋が即日完売。わが子を石川遼君に育てたい親の「夢」と「実利」を刺激したようだ。(経済部 滝沢聡)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000020-yom-bus_all