事件発生から一定期間経過後、公訴の提起(起訴)を許さない公訴時効制度について、法務省は4日までに、殺人など重大事件を対象に、期間延長や制度廃止を検討する勉強会を今月中に省内に設置することを決めた。時効期間は2005年の改正刑事訴訟法で延長されたが、被害者感情に配慮し、さらに見直しの検討が必要と判断した。
法務省などによると、公訴時効は〈1〉時間の経過で事件の証拠が散逸し、関係者の記憶も薄れ、犯罪の証明が困難になる〈2〉被害者側の処罰感情も薄れる—などの理由から設けられている。
改正刑訴法で、殺人など「死刑に当たる罪」は25年、強盗致傷など「無期懲役・禁固に当たる罪」は15年などと規定している。
しかし、DNA鑑定など科学捜査の進歩で、証拠の長期保全が可能となり、事件発生から長期間経過しても裁判での犯罪立証は以前ほど難しくなくなった。
また全国犯罪被害者の会(あすの会)は「被害者や遺族は一生苦しむのに、加害者に公訴時効があるのは不公平」などとして、制度廃止を求めてきた。
法務省の勉強会は刑事局が中心となり、3月までに報告書をまとめる方針。ただ、関係者によると、同省内には改正から4年しか経過していないことなどから、見直しに慎重な意見もある。
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