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2009年01月04日(日) 09時38分

東洋大 不祥事乗り越え総合初優勝デイリースポーツ

 「箱根駅伝・復路」(3日)
 東洋大が11時間9分14秒で、67回目の出場にして初の総合優勝を飾った。往路を制した東洋大は6区で2位に後退したものの、8区で逆転。完全Vを達成し、史上15校目の総合王者となった。16年ぶりの総合優勝に挑んだ早大は2年連続の2位で、3位は予選会を経て出場した日体大。2連覇に挑んだ駒大は13位に終わり、10位以内に与えられる次回出場のシード権を逃した。最優秀選手には、往路5区で区間新記録を樹立した東洋大の柏原竜二(1年)が選ばれた。
  ◇  ◇
 汗と涙が染み込んだ鉄紺のタスキを、右手で持ち上げた。東洋大の校歌がこだまする大手町。肩を組み、凱歌(がいか)を上げる仲間たちへ、高見諒(2年)はもう一度「どうだ!」と言わんばかりに、タスキを掲げた。67回目の出場で、ついに歴史の扉をこじ開けた。
 「みんなの気持ちが詰まっている。だから外せないんです」。余韻に浸るように、高見はゴール後もしばらくタスキをかけていた。49年前の総合3位が最高だったチームが、往路に続いて復路も制しての完全V。史上15校目の王者は、最後まで強かった。
 山上りで“山の神”を超えた柏原の勢いは、復路でも生きていた。6区、トップが5回入れ替わる壮絶なデッドヒートの末、早大に首位を明け渡した。18秒の差を許したものの、7区で12秒差に詰めた。
 8区の千葉優(2年)が7・8キロでとらえ、並走の後、上り坂の16・5キロでギアチェンジ。ライバルを置き去りにすると、最後までトップを譲らなかった。「前半は経験者、中盤は若手。後半はこの1年で力をつけた子にしようと。早大対策を私なりに考えていた」。佐藤代行が描いたシナリオが、ズバリはまった。
 逆境をはねのけた。昨年12月1日、陸上部員が強制わいせつの現行犯で逮捕(同日付で退部)された。主力のケガも重なり、補欠を含めた16人中、9人しか練習できない時期もあった。出場辞退も本気で検討した。元部員と同じ2年生が元気をなくしていると、お互いが「走ることで結果を出すしかないんだ」と励まし合った。
 04年から図ってきた強化策も実った。12月に辞任した川嶋伸次元監督が現場で指導し、佐藤代行が選手のスカウトを受け持ち、植村和弘コーチが若手の育成を担当。分業での強化が、5年目で実を結んだ。
 ゴール後は胴上げを自粛した。「走れることに感謝する」と心に決めただけに、主将の大西一輝(4年)の提案に、全員がうなずいた。柏原ら6人のメンバーが残る来年。大手町で、腹の底から歓喜の雄たけびを上げる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000015-dal-spo