2009年01月04日(日) 02時32分
<顔写真>東京の業者が無断で広告に CD販売、回収不能(毎日新聞)
商業目的への利用などについて十分な説明のないまま撮影された一般市民の顔写真を、東京の写真素材製造販売会社がCD化して販売し、収録された顔写真を使用した広告主と被写体の間でトラブルが頻発している。勝手に写真に手を加えた例や事実無根の広告に使用したケースもあり、同社は販売を中止。しかし、既に出回ったCDの回収は不可能で、被害は相次いでいる。肖像権を無視した「顔写真ビジネス」のモラルが問われそうだ。
問題のCDは、半導体製造装置メーカー「大日本スクリーン製造」(京都市上京区)が02年に発売し、同社から独立した「マイザ」(東京都新宿区)が引き継いで販売した「百人の顔」。1枚1万円で、老若男女100人の顔写真を収録。約1200枚が売れ、業界では「ベストセラー」だった。
写真は、京都市の写真素材業者から依頼を受けた関係先のスタジオのカメラマンが、顧客らに協力を求めるなどして撮影。お礼に1人3000〜5000円を支払ったという。写真素材業者はこうして集めた顔写真をマイザに販売していた。
被写体にサインしてもらう「使用許諾確認書」は、署名簿のように住所や名前を書いてもらうだけ。しかも「CD−ROM製品の取扱説明書に列挙されている内容に準拠する」としか書かれておらず、実際の用途には触れていなかった。
CDに添付されている利用規約には、特定の団体や商品を推奨するような使い方の禁止を盛り込んでいる。しかし、実際には、ネクタイ姿を勝手に浴衣姿に改造した写真が温泉ホテルの新聞広告に使われたり、「パチンコで大もうけした」とする虚偽の広告に使用されたりしていた。
抗議を受けたマイザは07年2月「百人の顔」の製造販売を中止したが、販売済みCDの回収は不可能。その後もホームページで虚偽広告などに写真を使用しないよう呼び掛けているが、不正使用は後を絶たないという。
マイザは「(写真素材業者からは)『理解してもらえた人だけ撮った』と聞いている。公序良俗に反する使い方をしてはいけないと明示しており、責任は購入者にある」と主張。しかし、ある広告会社は「このCDをこういうことに使わないで、何に使えというのか」と反論している。【熊谷豪、古屋敷尚子】
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