2009年01月04日(日) 08時02分
総選挙イヤー 解散はいつ? 4・7・9月に“波”(産経新聞)
■政界再編含み神経戦
第171回通常国会は5日に召集され、平成20年度第2次補正予算案と21年度予算案の審議が始まる。麻生太郎首相は予算を早期に成立させ、総事業規模75兆円の財政・金融措置を講じることで「世界で最初に不況から脱出する」と息巻くが、民主党の小沢一郎代表は「1月中の総選挙が一番国民に迷惑をかけずに済む」と早期解散に追い込む構えで、国会は冒頭から大荒れとなる見通しだ。9月10日の衆院任期満了を見据え、首相はいつ解散のトリガー(引き金)を引く腹づもりなのか
「いずれにしろ9月までに解散しなければいけないんだから冒頭からガチンコでいきましょう。妥協は一切不要ですよ…」
3日午後、渋谷区神山町の首相の私邸を訪れた自民党の菅義偉選対副委員長がおせちをつまみながら、「攻めの国会」を進言すると首相は深くうなずいた。年末年始を私邸で静養した首相はすっかり気力を充実させ、予算成立に強い自信を示したという。
政府・与党はまず補正予算案を1月中旬に衆院通過させる方針だが、これを機に与野党攻防が激化する公算が大きい。野党は、主導権を握る参院で補正予算案の徹底審議を続けて首相や閣僚を参院審議に縛り付け、衆院側で始まる21年度予算案審議への首相らの出席を邪魔する可能性が高いからだ。
予算案は衆院通過後30日で自然成立するから日程的に余裕があるが、予算の関連法案を年度内成立させるには、憲法59条の60日みなし否決規定を視野に1月末までに衆院通過させる必要がある。加えて21年度予算の年度内成立には2月中の衆院通過が必須条件となる。参院が日中の審議を続けると、衆院は夕方から深夜に審議するしかなく、連日深夜までの審議が続く可能性もある。
首相が掲げる定額給付金の年度内給付が実現しなければ、麻生内閣には大打撃となる。それだけに与党が2月までの国会日程を思惑通りに運べなければ、与野党の一部でささやかれる4月の「話し合い解散」がにわかに現実味を増す。これは、野党に予算案の参院採決を急がせる交換条件として、首相が衆院解散を約束するシナリオだ。ただ、首相退陣も条件となる可能性があり、首相が応じるか疑問だ。逆に、予算案を「人質」にした戦術は野党にとってもリスクは大きい。3月からはギリギリの神経戦が続くことになる。
■解散シミュレート 自民分裂や連立解消も
内閣支持率がまだ低迷していれば、与党の足並みが乱れる可能性もある。特に衆院再議決は17人が反対票を投じれば否決される。そうなれば、造反者らの離党による自民党分裂の中で衆院選突入という可能性がある。
首相が3〜4月の攻防をしのげば、次は通常国会閉会後の「7月解散」が浮上する。この時点で経済対策の効果が表れていれば、「麻生政権の成果」をアピールできる。7月8〜10日の主要国首脳会議(マッダレーナ島サミット)でリーダシップを発揮できればさらに追い風となる。
だが、7月には東京都議選が予定されており、都議選を最重視する公明党の猛反発は確実だ。もしここで首相が解散に踏み切れば、10年続いた自公連立の解消が現実味を増し、やはり政界再編含みで衆院選に突入することになるだろう。
7月を逃せば、残る選択肢は衆院任期満了の9月解散となる。自民党総裁任期は9月なので、党内では総裁選前倒しを求める声が強まるだろう。総裁選は衆院選の前哨戦となるだけに自民党にとってアピール効果は大きいが、総裁戦にきっかけに自民党が分裂する可能性も否めない。次期衆院選がいつになるにせよ、政界再編の潮流はもはや避けられそうにない。
(石橋文登)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000033-san-pol