1日午後9時10分ごろ、京都市東山区の交差点に、サイレンを鳴らし、ダッシュボードの上で赤色灯を点灯させた車が信号を無視して進入し、車3台と衝突、計5人がけがをする事故があった。乗用車は覆面パトカーを装ったもので、東山署は道交法違反(信号無視)の現行犯で、運転していた京都市の警備員・川勝雅之容疑者(45)を逮捕した。
東山署によると、自動車警ら隊のパトカーが、川勝容疑者が運転する車を最初に発見したのは1日午後9時すぎ。シルバーのトヨタ・ヴィッツが、ダッシュボードの上で赤色灯を光らせ、サイレンを鳴らし、祇園近くの東大路通を南から北へと走っていたという。
パトカーの警官2人は「事件や事故があったのか?」と思い、川勝容疑者の後を追う形で通りを北上。その後は東西に走る四条通を左折、約450メートル走り、今度は鴨川手前の川端通を左折、南下した。警官らは途中で「何かおかしい。不審車両では?」と疑い始めたという。
そこで「止まりなさい」と呼びかけたが、川勝容疑者は速度を上げ、パトカーの追跡開始から約1・5キロ走ったころ、国道1号線の交差点に赤信号を無視して進入。車3台と衝突し、うち1台に乗っていた家族4人に軽傷を負わせた。
覆面パトカーを装ったとみられる、川勝容疑者の車は前部が大破。警官が駆け寄ると、容疑者はシートベルトを締めたまま、運転席で意識を失っていたという。左骨盤付近の打撲で軽傷ながら、救急車で病院に搬送されて治療を受けた。いったん釈放されており、同署によると、川勝容疑者の職業は警備員。車はレンタカーではなく自身のものという。
同署によると、川勝容疑者が使っていた赤色灯やサイレンは、見た目も音も、明らかに「警察のものと違う」という感じではなかったという。警視庁OBで作家の北芝健氏によると、赤色灯は警察マニア向けのインターネットサイトや通販、専門店などで買えるアイテムで「争って付けたがる人達もいる」という。
赤色灯は本来「持っているだけでは問題ないが、一般の人が許可なく光らせたり、音を鳴らして走るのは違法」(同署)。警察ジャーナリストの黒木昭雄氏によると、ダッシュボードで赤色灯を光らせるのは非常にまぶしく、本物の警察でも、皇室警護の際など、限定されたパターンの使用法という。「仮にマニアだったとしても、そこまで知ってダッシュボードで光らせていたとしたら、よほどのマニア。交通量が少ない元日“走り初め”をしてしまったのか…」と、驚いていた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090103-OHT1T00086.htm