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2009年01月03日(土) 14時18分

<箱根駅伝>東洋大が初の総合V 2位早大、3位は日体大毎日新聞

 第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は最終日の3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの復路5区間109.9キロで行われ、東洋大が11時間9分14秒で初の総合優勝を果たした。東洋大は往路に続き復路も5時間35分50秒で初制覇して完全優勝。早大(往路2位)が2年連続の2位、日体大(同3位)が3位。

 東洋大は、6区で2位に後退したが、7区・飛坂篤恭(4年・美方)が区間賞の快走で差を詰め、8区・千葉優(2年・盛岡南)で逆転、その後はトップを維持した。早大は6、7区は1位に立ったがリードを守れなかった。

 来年は20チームで行われ、シード権(今回10位以内)は、9位の関東学連選抜を除く9校が獲得した。明大は8位に食い込み、43年ぶりのシード権。前回総合優勝の駒大は13位でシード権を逃した。前回優勝チームのシード落ちは、途中棄権の例を除くと史上初。城西大は8区で棄権した。

 金栗杯(最優秀選手賞)には、山上りの5区で区間新の力走で東洋大を1位に押し上げ、初優勝に貢献した柏原竜二(1年・いわき総合)が選ばれた。(スタート時の気象条件=晴れ、気温氷点下2.7度、湿度77%、微風0.3メートル) 

 ▽関東学生陸上競技連盟・青葉昌幸会長 東洋大の優勝は、学校を挙げて真摯(しんし)に努力した結果。(部員逮捕の)被害者の方にも、どうかお許しいただきたい。城西大の棄権は残念だが、全体的にはしっかり給水もでき、3校が棄権した昨年の反省が生きた。

 ▽明大・西弘美監督 (8位で43年ぶりにシード権獲得)率直にうれしい。今回は往路から上位で推移できたのが良かった。前回出場できず、まずエースの松本昂大が変わった。彼が一番練習をするようになった。そういう選手を見て、他の選手も頑張ったことが結果につながった。 

 ▽上武大・花田勝彦監督 (初出場で21位)予想の範囲内ではあるが、ちゃんと走れば15〜16位にはなれた。選手の意識が低い。ゴールした時、悔しがっていたのは僕やコーチだけだった。まだ出場するのが精いっぱいで、戦うレベルに達していない。

 ◇早大監督「完敗」…駒大が往路で出遅れ油断?

 早大は今年も復路で攻めきれず、昨年同様の2位に終わった。

 6区は22秒差でスタートし、加藤が3キロ過ぎに東洋大・富永をかわした。その後は粘る富永とのトップ争いが続き、19キロ手前で再び加藤が1位に立った。7区・八木も首位をキープし、東洋大に12秒差をつけてタスキを渡した。だが、ここで渡辺監督が思い描いていた「6区で1分半、7区でさらに離して2分半」というリードを作れなかったことが、結果的に逆転を許す原因になった。

 「完敗です」と脱帽した渡辺監督は「この1年間、『打倒』でやってきた駒大が往路で出遅れ、僕の中に油断が生まれたのかも」と反省した。主将の4年・竹沢は「これが1年間の成果」と淡々。一方で矢沢、三田ら1年生の活躍を喜び、「この悔しさを受け止めて成長してほしい」と復活優勝を後輩たちに託した。【山本亮子】 

 ○…往路の山上りで大逆転劇を演じた東洋大の柏原は、文句なしで金栗杯に選ばれ、総合優勝との二重の喜びに。ひたすら攻めの走りに徹した結果に「優勝も賞も実感がわかない。夢みたい」と笑顔もどこか控えめだった。

 快走を生んだ脚筋力や心肺能力の高さに、関係者からは飛躍を期待する声も高い。だが自身は「一戦一戦が大切だと思うので、将来のことは全く考えない。上につながるよう頑張りたい」とあくまでも謙虚だった。

 ○…途中棄権という不本意な結果に終わった前回から、4位に躍進し、就任1年目の大東大・奈良監督はホッとした表情だった。スプリント力を買ってアンカーに起用した木村が、中央学大を2秒差で振り切るなど布陣が的中した。

 現役時代、90、91年の大東大連覇に貢献した奈良監督は「そんなプライドなどは持たず、選手に接してきた。五輪や世界選手権で戦えるようなランナーを育てたい」と指導者としての夢を語った。

 ○…11月の全日本大学駅伝を制し、連覇を狙った駒大は13位に終わり、13年ぶりにシードを逃す結果になった。15位スタートの復路は、6、7区で伸びを欠いたのがすべて。区間賞を獲得した8区・高林の力走が唯一の見せ場だった。

 9区を走った主将・池田は「復路で優勝すれば、シード権は取れると思っていたのだが……」と。大八木監督は「強い選手と弱い選手に差があり過ぎ、層が薄かった。これを原点に、もう一度真剣に取り組みます」と巻き返しを誓っていた。  

 ○…予選会から勝ち上がってきた日体大が3位に食い込んだ。8区・長尾の力強い走りでトップ3入りを確実なものにすると、アンカー・永井は区間賞の力走。4年生の永井は「アンカーの責任というものを、次の世代の選手たちに見せたかった。まだ、3位。挑戦者のつもりで取り組んでしい」と後輩たちへの期待を口にした。 

 ★城西大が途中棄権 城西大は、8区の石田亮(2年・青森山田)が19.8キロ地点で走行不能となり途中棄権した。大会ドクターの診断では、一時的な低血糖状態に陥ったとみられる。途中棄権は大会通算12例目。

 【復路成績】(1)東洋大5時間35分50秒(2)早大5時間36分9秒(3)関東学連選抜5時間37分47秒(4)日体大5時間37分58秒(5)大東大5時間38分40秒(6)中大5時間38分41秒(7)駒大5時間39分1秒(8)日大5時間39分16秒(9)明大5時間39分18秒(10)東農大5時間39分21秒(11)山梨学大5時間40分19秒(12)国士大5時間41分5秒(13)中央学大5時間42分5秒(14)亜大5時間42分46秒(15)神奈川大5時間43分35秒(16)専大5時間43分44秒(17)青学大5時間44分16秒(18)拓大5時間44分38秒(19)東海大5時間44分45秒(20)上武大5時間45分39秒(21)順大5時間46分4秒(22)帝京大5時間49分4秒▼城西大は記録なし

 【区間賞】▽6区(20.8キロ)佐藤匠(大東大)59分14秒▽7区(21.3キロ)飛坂篤恭(東洋大)1時間5分1秒▽8区(21.5キロ)高林祐介(駒大)1時間6分27秒▽9区(23.2キロ)中川剛(山梨学大)1時間11分7秒▽10区(23.1キロ)永井大隆(日体大)1時間10分41秒

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