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2009年01月03日(土) 14時40分

「円キャリー取引」の終焉=GCIキャピタル・松木氏サーチナ

サーチナ・新春特集:2009年の相場観−FX(外国為替)

 ついに1ドル=90円割れまで急激な円高が進行。2009年の外国為替相場はどう動くのか?GCIキャピタルのシニア・アナリスト、松木秀明氏に聞いた。


——まずは今年の外為市場全体の見通しについてお聞かせください。

 ドル安基調は少なくとも2−3カ月は続くと思います。一方で目先のユーロ・円、ポンド・円は円安に振れており、ドル円以外の相場は円安傾向が強まる可能性があります。つまり現在の市場では、通貨の強さはユーロ、円、ドルの順になっていると見られているのです。

 強さを決める根拠のひとつは、利下げのスピードです。米国が経済の悪化とともに急速に金利を引き下げたのに対し、欧州の利下げは相対的にゆっくりと進んでいます。すでに事実上のゼロ金利となったドルに対し、ユーロの金利は今年半ばごろまで付くと思いますので、ユーロ高傾向はしばらく続きそうです。

——ドル/円相場はどの程度の水準になるでしょうか?

 今年1年はドル円が1ドル=70−100円、ユーロ・円は1ユーロ=110−150円の幅で推移すると予想しています。レンジ幅を大きめに設定したのは、今年も乱高下が予想されるからです。リーマン・ブラザーズの破たん直後、ドル円のボラティリティ(変動率)は40%前後まで跳ね上がりました。現在は20%まで下がっていますが、それでも2年前の8−13%に比べて2倍近い値動きが続いています。6月ごろまでは不安定な相場が続きそうです。

——そうした不安定な相場状況下で、個人投資家が外為投資を行ううえでのポイントとは?

 今年は、個人投資家が今までの「円キャリー取引」から卒業する年となりそうですね。世界各国が金利を引き下げている状況下で、スワップポイント(金利差に応じた利益)はほとんど期待できなくなっています。一般に2通貨の金利差が4%以上なければ、スワップポイントによる利益は為替変動によって帳消しにされやすいと言われています。現在、高金利通貨と言われる豪ドルの金利ですら4.25%、ニュージーランドドルは5.25%まで下がっていますので、「円キャリー取引」を行うには適さない状況だと言えます。金利ではなく、値ざやを稼ぐ取引に合った状況です。初心者の方が売買するには難しい状況ですが、最近は安くて優秀なシステムトレードのプログラムがいくつも登場していますので、そうしたプログラムを活用して取引してみるのもいいかもしれません。

——通貨ペア選びも慎重に行ったほうがよさそうですね。

 初心者の方であれば、比較的ボラティリティの小さいドル円や豪ドル・円などがいいかもしれません。豪ドルはまだ金利が高めですので、相場が落ち着けば、じりじり値上がりする可能性があります。また、来年サッカーのワールドカップが開催される南アフリカのランドが、今年後半ぐらいから買われ始めるかもしれませんね。(文責:サーチナ・メディア事業部)

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