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2009年01月03日(土) 08時30分

「黒神 The Animation」 アニメ初の日韓米同時放送フジサンケイ ビジネスアイ

 ■海外展開へ新風

 アニメーション制作会社のサンライズと、アニメソフト会社のバンダイビジュアルは、8日からテレビ朝日系で放送するアニメ「黒神(くろかみ) The Animation」を、米国、韓国でもほぼ同時に吹き替えで放送する。史上初の試みで、アニメ産業の海外展開に新たな道を開くことになりそうだ。

 「歴史を作ることになる」。米国で20年近くアニメ関連の仕事に携わるバンダイエンタテインメントの吉田寿史プロデューサーは、3カ国同時放送が持つ意義の大きさをこう表現する。

 「黒神」は、高校生の少年が謎の力をもつ少女と出会い、人間を遙かに超越した存在「元神霊(もとつみたま)」同士の争いに巻き込まれていく伝奇作品。大ヒットゲーム「ドラゴンクエスト」で知られるスクウェア・エニックスが出版する漫画雑誌「ヤングガンガン」で、2004年から連載されている。

 原作は作家の林達永(イムダリョン)氏、作画は人気漫画家の朴晟佑(パクソンウ)氏。単行本は8巻までで93万9000部に達し、韓国や米国でも出版されている。

 海外で日本のアニメが放映される場合、通常は日本での放送後に各国語版が作られてからテレビ画面に流れる。「黒神 The Animation」のように、あらかじめ日本語、英語、韓国語の収録を同時進行で行い、放送も同時期に行うのは初の試み。日本の放送は8日深夜2時40分(9日早朝)、米国では現地時間で8日午後8時、韓国では9日午後10時からの放送となる。

 インターネットの普及で、日本国内の放送から間を置かず、海外に違法に配信されてしまうアニメ作品が少なくない。同時期に放送することで不法な配信行為を牽制(けんせい)し、国際規模でのビジネスを想定したプロモーションも行えるわけだ。

 国際市場で日本製アニメは強い商品力をもつ。「東京国際映画祭」と併催のコンテンツ見本市「TIFFCOM」でも、アニメ作品の英語パンフレットを用意して、海外に売り込もうとする企業が目立った。アニメ専門チャンネル「アニマックス」を傘下に抱えるソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、米国映画の「ウルトラヴァイオレット」を原作にしたアニメシリーズを日本で製作。国際市場で通用できるコンテンツの開発に挑んでいる。

 今回の吹替版による3カ国同時放送をきっかけに、よりスピーディな国際展開を狙う動きが強まりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090102-00000005-fsi-bus_all