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2009年01月03日(土) 09時23分

アルファブロガーに聞く「ブログの未来」(中)磯崎哲也事務所 磯崎哲也代表産経新聞

 インターネットを介して簡単に情報発信ができる道具として、多くの人が利用するブログ(日記風簡易サイト)。芸能人や著名人の情報発信の手段としてもすっかり定着した。なかには多くの閲覧者を集め、既存のメディア以上の影響力を発揮するブログも存在する。こうしたブログを手がける“アルファブロガー”と呼ばれる著名な執筆者らにブログの現状と未来を語ってもらった。(黒川信雄)

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■磯崎哲也事務所代表 磯崎哲也氏

 −−日本のブログの特徴や業界の現状をどうみているか

 「日本のブログの特徴は、実名で書いているものが少ないという点にある。日記のようなものを書き、コミュニケーションを楽しむ要素が強い。中国では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでも平気で実名を出している。アメリカのブログは、自分の主張や政治的な意見を語るブログが多い。国ごとにいろいろな文化があるのだと思う」

 「日本では、専門知識などの情報発信の場としてのブログは発展していかないのではないかと感じる。情報を出すことによって損をする、あるいはライバルが増えるなど、情報発信が自分の得になると考える人が少ないのではないか。ブログの数自体は今後も増えていくだろうが、重要な情報を持っている人が情報発信してくれるようなものは増えていかないだろう」

 −−商業メディアとしてのブログの可能性をどうみるか

 「質の高いブログを集めて、その連合体でメディアを形成しようという動きはある。ただ、それがどのくらいのボリュームを持ち、何人の人に見てもらえていればメディアとして認められるか、という問題はあるだろう。意見や主張が展開され、これまでの言論人にも認められるような質の高い内容のブログが増えて、さらにそこに広告がつくという発展の形は、日本ではあまり考えられないのではないか」

 −−ブログ以外で注目しているメディアはあるか

 「放送大学が面白い。放送大学の講義には、ブログのような面白さがある。民放キー局の番組は編集がうまく、加工の面白さがある。それに対し、放送大学の番組は、研究者による講義をそのまま流すような形だが、生の素材が伝わってくる、あいだに編集者が入らない面白さはブログに通じるものがある。さらに、ある学問分野について最先端の研究をしている人が話すので、内容の質が非常に高い。地上デジタル放送が始まり、映像がとても鮮明になり見やすくもなった。場合によっては、今後の民放の経営にも影響を与えかねない面白さがあると思っている」

 −−2008年のブログ業界を振り返ると

 「昨年は国内のブログ業界には大きな変化は起きなかったというのが正直な印象だ。技術的にも、書かれる内容についてもそうだろう。3年くらい前までは特徴的なブロガーが数多く出てきていたが、一昨年、昨年と一服感がある。自己主張したい人はもう出尽くしているのだと思う。ブログの面白さは、情報発信することでコメントが寄せられるなど、『情報が流れ込んでくる』という側面があることだ。それがブログを書く動機にもなっている。ただ、ブログで意見交換をするという盛り上がりは1、2年前がピークで、最近は落ち着いてきている」

 −−2009年はどのように変化していくとみているか

 「ネット企業では金融危機の影響で、ベンチャーキャピタルから投資を受けて株式公開に至るという動きが冷え込んでいる。そのため、起業マインドも落ち込み、革新的なものが生まれる余地が世界的に抑制されるという状況にある。一方でネット全体のパイ(市場規模)は膨らんでいくだろう。ただ、その内容は、主張を出すようなものではなく、コミュニケーションを主にするものが増えていくだろう」(黒川信雄)

 磯崎哲也(いそざき・てつや)早大政治経済学部卒。84年長銀経営研究所に入社。92年公認会計士に登録。01年に独立し、磯崎哲也事務所を設立。SNS大手のミクシィの監査役などを務める。47歳。

 【ブログ】http://www.tez.com/blog/

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