刑事裁判の初公判前に争点を絞り込む公判前整理手続きについて、最高裁が昨年11月、情報開示を進めるよう促す文書を全国の地裁・高裁の事務局長あてに出していたことが分かった。
同手続きは、裁判員制度を前に裁判迅速化を目的として2005年11月に導入されたが、非公開で行われるため、「裁判の重要な部分が不透明になり、裁判公開の原則に反する」との批判も出ていた。
文書では、情報開示の在り方について法曹三者で協議することも提案しており、各地裁でルール作りが進められそうだ。
文書では、手続きの内容を公表するかどうかは裁判官の判断とする一方、裁判員制度の実施が近づき、刑事裁判への注目が高まるにつれて、内容の公表を求められる場面が多くなるとの認識を示している。
そのうえで、社会的関心の高い事件などでは、裁判所が検察側と弁護側の同意を得て、当事者の主張や事件の争点などを報道機関に公表すべき場合もあるとした。
同手続きでは、従来は公開の法廷で行われていた検察側、弁護側の主張の明示や証拠請求、証拠の採否の決定も行われるが、公判の準備段階との位置づけから非公開で行われており、裁判所が決定した事項さえ一切公表しない地裁もあった。
同手続きが行われた秋田県の連続児童殺害事件でも、起訴から07年9月の初公判まで1年余りを要したが、手続きがどのように進められているか公式にはほとんど明らかにされなかった。
▽公判前整理手続き=初公判前に裁判所、検察官、弁護人の間で、審理計画を定める手続き。5月21日から裁判員制度が始まると、すべての同制度対象事件で実施される。検察側が立証方針を示す一方、弁護側も起訴事実に対する認否を明らかにし、争点を確定。また、双方の請求に基づき、公判で調べる証拠や証人も裁判所が決定する。手続きの公開に関する規定はない。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081128-033595/news/20090103-OYT1T00017.htm